第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

胎児心臓病学

一般口演39(III-OR39)
胎児心臓病学

2018年7月7日(土) 14:00 〜 14:50 第5会場 (304)

座長:稲村 昇(近畿大学医学部 小児科)
座長:川滝 元良(神奈川県立こども医療センター 循環器内科)

[III-OR39-02] 期外収縮起源の簡易的な診断法についての検討 一次スクリーニングでの診断を目指して

寺町 陽三, 前野 泰樹, 廣瀬 彰子, 前田 靖人, 桑原 浩徳, 鍵山 慶之, 岸本 慎太郎, 籠手田 雄介, 須田 憲治 (久留米大学医学部 小児科)

キーワード:胎児不整脈, 胎児心エコー, 期外収縮

【目的】胎児の期外収縮はAHAの胎児心エコーstatementでも、心房期外収縮(PAC; premature atrial contraction)の多くがフォロー不要であるが心室期外収縮(PVC; premature ventricular contraction)は専門施設への紹介が推奨されている。しかし一次スクリーニングでのPVC診断は時に困難であることがある。そこで理論上PVCは心房収縮の周期に影響しないので、期外収縮を含めた2心拍の間隔が前後の2心拍の間隔と同じとなるはずである。今回、動脈のPulse Dopplerで期外収縮前後の各心拍時間を計測してPACとPVCの鑑別を検討した。【方法】2013年1月~2017年12月までの5年間に当院胎児エコー外来に脈の不整の精査目的に紹介された症例のうち、単発のPAC(PAC with blockは除外)もしくはPVCを対象とした。大動脈弁もしくは肺動脈弁のPulse Dopplerで得られた波形で、期外収縮を含めた各心拍間の間隔を計測した。期外収縮を含めた2心拍時間とその前後の洞調律時の心拍時間を比較した。【結果】期間中に脈の不整で紹介されたのは43症例であった。そのうちPAC with block(7例)、PAC2段脈やPVC2-3段脈、上室性頻拍、AV blockなどを除いた、単発の期外収縮はPAC10回(8症例)、PVC6回(6症例)であった。期外収縮前後の2心拍間隔の半分の時間をE time、洞調律の心拍時間をR timeとして、PAC, PVCそれぞれの比と差を算出。E time/R timeでPACは平均0.92、 PVCは平均0.99とほぼ1となった。R time-E timeは14mを境に感度100%でPACとPVCを判別できた。【結語】大動脈・肺動脈のPulse Doppler波形を測定して、不整脈を含む2心拍の時間がどれだけ短縮したかを計算することで簡便にPACとPVCの鑑別でき、スクニーニングに有用と考えられた。ただし洞調律でも生理的な心拍の変動があり、この影響を受けることがある。胎児の安静時の複数回の検査でその誤差を小さくするなど、臨床的な精度を高くする方法を検証する必要がある。