[III-S13-06] 機械弁を用いた小児体心室弁人工弁置換症例の検討
キーワード:機械弁置換, 体心室弁, 小児
【目的】当施設で体心室房室弁(SAVV)人工弁置換術を行った12歳以下の小児症例の結果を検討。【対象と方法】2009年から2017年の間にSAVV機械弁置換術(SAVVR)を行った18例を対象。術後経過、患者人工弁特性等について検討。平均年齢は4.9歳(5か月‐11.8歳)、BSAは0.6±0.3m2。【結果】1例は術後1か月時に不整脈により死亡。5人に再SAVVRを必要とした。8例は単心室症でうち4例はHeterotaxia。4例中3例はAspleniaでTAPVRを合併、その全症例で先行してSAVV形成施行。不完全型AVSDでSAVVRを行った2例ではSASが進行しLVOT再建術も併施。5例でLVOTSや弁下組織による弁機能障害の回避を目的に人工血管を台座にした心房側へのtranslocation法を施行。4例に機械弁不全が生じ再弁置換施行。原因は血栓弁3例、組織増生1例。再手術回避率は術後6か月で54%で以後安定。使用人工弁はBSA 0.57±0.24/m2に対し21.1±3.5mmでGeometric orifice area indexは4.83±1.7cm2/m2で、EOAIは3.5±1.4cm2/m2。これをBSA1.5m2(HT160cm, BW50kg相当)に成長したと仮定すると1.31±0.5cm2/m2で、2例が0.8、1例が0.9であった以外は全例で1.2以上であった。 【考察】小児に対するSAVV不全では形成術を主体とするが血行動態に影響を与える病変が残存する場合はSAVVRが残された術式となる。早期の弁機能不全リスクはあるが術後遠隔期の成績は良好である。人工血管を台座にしたTranslocation法はLVOTS回避、小さな房室弁輪症例に対しよりサイズの大きい人工弁を縫着する際には有効な方法であった。機械弁構造の進歩によりGeometric orifice areaが大きくなったことで理論上は小さめの機械弁でも患者人工弁ミスマッチを回避しうるEOAIで、成長に伴う再弁置換を回避できうるデータであったが、小児症例でのEOAIは様々な因子が関係するためデータの集積とその解析が今後の課題となる。