第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

カテーテル治療

ポスターセッション11(P11)
カテーテル治療 1

2018年7月5日(木) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:石垣 瑞彦(静岡県立こども病院 循環器科)

[P11-05] Fontan術後遠隔期の巨大静脈静脈瘻と左上腕動静脈瘻に塞栓術を施行した一例

麻生 健太郎, 桜井 研三, 水野 将徳, 都築 慶光 (聖マリアンナ医科大学 小児科)

キーワード:Fontan手術, 静脈肺静脈瘻, コイル塞栓術

【緒言】Fontan術後の静脈肺静脈瘻 (VVC)は中心静脈圧(CVP)の減圧、前負荷増大と心拍出量増加に寄与するが、慢性的なチアノーゼの原因となる。動脈静脈瘻(AVF)は、CVPの上昇による、Fontan循環不全の一因となり得る。今回我々は、Fontan術後遠隔期に巨大VVCと上腕のAVFが生じ、両方に塞栓術を施行した1例を経験したので報告する。【症例】19才男性。診断:Heteroxatia, Dextroversion, Absent IVC, Hemiazygos connection, unbalanced AVSD.現病歴:4歳でFontan手術。18歳頃よりチアノーゼが増悪し、易疲労を自覚。同時期より以前から認められていた左上腕の腫瘤が増大。CT検査で巨大VVCと左上腕のAVFを確認。19歳、治療目的で入院。安静時SpO2 85-87%。心臓カテーテル検査:Hemiazygos V m16 mmHg, Rt. PA m15mmHg, Vent 108/EDP15mmHg, Ao 89/30mmHg RpI=0.64, Qp/Qs=0.7. CTと同様の巨大なVVCを確認。VVC, AVFに治療介入することとした。VVCはPenumbra coil®7本、Trget XL 360®16本、AZUR 18® 14本で塞栓し完全閉塞。AVFはInterlock coil5本で塞栓したが短絡を残した。塞栓術終了後心臓カテーテル検査:SpO2 93%, 半奇静脈m15mmHg, Qp/Qs=0.9まで改善したが、その後のフォローで再びチアノーゼ、易疲労が顕著となった。【考察】本症例は積極的な治療介入により全身状態は改善したが効果は一時的であった。Fontan術後のVVCに対するコイル塞栓術の効果については未だ議論があり、チアノーゼの改善や予後に寄与しないとする報告もある。功罪合わせもつ治療であることを理解し、適応は症例に応じて慎重に吟味する必要がある。