[P20-04] 多彩な経過をたどり、治療に難渋しているCPVTの1例
キーワード:カテコールアミン誘発性多形性心室頻拍, てんかん, electrical storm
【背景】カテコールアミン誘発性多形性心室頻拍(CPVT)は、ストレスにより多形性心室頻拍・心室細動が誘発され重篤な予後が問題になる。発症後11年、多彩な経過をたどり今も治療に難渋する1例を報告する。【症例】症例は14歳女児、3才時入浴中に初回VF、stormの状態で蘇生を受けながらICU入室、静注アミオダロン(AMD)投与で洞調律となった。軽度の跛行以外は後遺症なく回復した。当時LQTは遺伝子検査から否定されたが、診断は不明でAMD内服とAEDのレンタルで退院した。5才時幼稚園入園を契機に、頻回の失神あり、ホルター心電図で二方向性VTに続くVFが確認された。興奮時が多くCPVTを疑い、内服薬をAMDからβ-blockerとCa拮抗薬に変更、リアノジン受容体遺伝子(RYR2)の変異あり確定診断に至った。長期に心イベントなく経過していたが、誕生日の翌日未明に階段から転落、VF発症、除細動は無効で26分後に自己心拍が再開したが、stormは続き、搬送病院でPCPS、IABPを装着、重度の神経学的後遺症を残した。リハビリで自発呼吸、ミキサー食摂取の状態まで改善し、3ヶ月後に自宅退院。家族の介護のもと、心イベントなく経過していたが、1年8ヶ月後、家族から周囲への反応・表情が改善してきたと訴えあり、前後してVT/VFがみられるようになった。フレカイニドを加え、自宅に心電図モニターを備え薬物調整を試みたが、コントロールは不十分でVFを頻回発症、緊急入院が続いた。長時間脳波を装着した際にVFあり、脳波所見から部分てんかんの二次性全般化が疑われ、抗てんかん薬を加えて退院に至った。その後観察し得た5ヶ月間はVFなく経過している。【考察】本例では、脳波所見と薬効から、低酸素性脳症による二次性てんかんによるけいれん・カテコールアミン上昇の機序を考えた。VF時の脳波所見をとらえた報告は少なく、本例の予後もまだ不定で慎重な経過観察が必要である。