[P33-03] 川崎病初期プレドニゾロン併用療法中の冠動脈異常をきたした例の対応‐シクロスポリンAへの変更の有効性の検討‐
キーワード:川崎病, シクロスポリンA, 冠動脈異常
当院では重症川崎病(KD)の初期治療として、免疫グロブリン大量療法(IVIG)にプレドニゾロン(PSL)併用を行っている。本治療中に冠動脈異常(CAA)を稀にきたすことがあり、PSLの影響でのCAAの悪化も懸念される。ただ、PSLを単に中止すると再燃の可能性もあり、その対応は容易ではない。当院ではPSLを漸減しシクロスポリンA内服(CsA)へ変更しており、その実例を報告する。対象は2014年から2017年までにPSL併用を行った47例中、CAAを認めPSLからCsAへ変更を行った4例である。【症例1】2歳男児、小林スコア (K) 3点。3病日IVIG、5病日IVIG追加時にPSL併用を開始した。8病日Seg 1 Z score(Z)3.4を認め、CsAに変更し10病日以降のCAA悪化はなかった。【症例2】5か月男児、K 5点。1病日IVIG+PSL開始。9病日Seg 6 Z 3.2でCsAに変更、15病日Z 9.0と悪化し当院に転院、KD再燃と診断しIVIG追加とCsA増量しその後CAA悪化はなかった。【症例3】3歳女児、K 5点。5病日IVIG+PSL開始、12病日Seg 6 Z 3.0でCsAに変更、変更後CAAは縮小した。【症例4】1歳男児、K 5点。5病日IVIG+PSL開始、PSL減量中の21病日Seg 6 Z 3.4でCsAに変更、その後CAA悪化はなかった。4例とも遠隔期にCAAは退縮し、ほぼ正常となっている。【考案】CsAへの変更でPSL中止による再燃は3例ではみられず、CAAの悪化もなかった。再燃した1例はCsA血中濃度が低かった点が問題だったものと考えられた。【結語】PSL投与中にCAAをきたした場合にCsAへの変更は有用な対応のひとつである可能性がある。