[P51-02] 呼吸機能はFontan循環に特有の運動耐容能関連因子である
キーワード:Fontan循環, 呼吸機能, 運動耐容能
【背景】Fontan(F)術後患者では、肺血流が肺動静脈圧格差と胸腔内引き込み圧によって維持される特有の循環動態を呈する。そのため、F術後患者では、二心室修復術後患者と比較して、呼吸機能が運動時血行動態に及ぼす影響が大きいと考えられる。【方法】2016年7月から2017年8月までの期間、6歳以上のF術後患者148例(F群)と二心室修復術後患者45例(B群)にRump法(FUKUDA TR3)を使用したトレッドミルによる心肺運動負荷試験を施行し、Peak VO2とPeak VO2に影響を及ぼす関連因子について比較検討した。【結果(F群:B群) (数値は平均±SD)】年齢(歳)13.1±3.4:13.7±3.6、性別(男性)(%)63.5:68.9、Peak VO2(ml/kg/min)32.3±6.4:37.4±8.4(p<0.001)、運動負荷時最高心拍数(bpm)168.1±17.7:174.1±14.6、MRIによる体心室EF(%)52.4±7.0:60±7.4、安静時一回換気量(ml/BSA)325.9±59.3:320.8±40であった。これらの結果とPeak VO2との相関をみると、男性は両群ともに女性よりPeak VO2が高く、年齢とPeak VO2は両群ともに有意な負の相関、運動負荷時最高心拍数とPeak VO2は両群ともに有意な正の相関を示した。また、EFとPeak VO2は両群ともに相関を認めなかった。安静時一回換気量とPeak VO2は、B群では相関を認めなかったが、F群において強い正の相関(p<0.001)を認めた。Peak VO2に関連する因子について、B群では年齢、性別、運動負荷時最高心拍数の3項目、F群ではこれに安静時一回換気量を加えた4項目について多変量解析を行ったところ全て独立して有意な関連因子であった。【考察】B群では、安静時一回換気量とPeak VO2に相関がなかったものの、F群では有意な相関を認めた。これは、大きな安静時一回換気量が高い胸郭コンプライアンスや強い呼吸筋力を反映しており、F術後患者では、これらが運動時の肺循環血流流入に貢献するためと考えられた。F循環特有の運動生理を反映した興味深い結果と考えられた。