[I-P19-02] フレカイニド投与により心室同期改善を得た症候性WPW症候群の乳児例
キーワード:WPW症候群, 心室非同期, フレカイニド
【はじめに】
心室非同期や心機能低下を伴うWPW症候群に対する薬物療法は, ごく少数の報告が散見されるのみで, 治療効果について一定の見解は得られていない.
【症例報告】
生来健康な3か月女児. 顔色不良を主訴に当院来院し, 12誘導心電図にて左脚ブロック波形を伴うlong RP'頻拍 (272 bpm)を認めた. 迷走神経刺激により洞調律へ復帰し, 洞調律時の心電図でΔ波を認め, 右前中隔の副伝導路が疑われた. 洞調律時の心エコーでは, M-modeにおける心室中隔の非同期を認め, LVEF 48. 5 % (modified Simpson法)と低下していた. Speckle trackingでは前中隔領域の非同期を認めた. 洞調律復帰後, 本人に心不全徴候は見られず, 胸部レントゲンはCTR 51 %・肺うっ血なし, BNPは29. 0 pg/mlであった. 頻拍再発予防のため, プロプラノロール内服を開始したが, 1か月後に上室頻拍の再発を認め, その際ATP投与により頻拍が左脚ブロック波形から正常QRS波形へ変化したことより, 変行伝導を伴うorthodromic AVRTと診断した. 低年齢かつ体格が小さいため, アブレーションのリスクを考慮し, 抗不整脈薬の追加により頻拍予防を行う方針となった. 入院モニタリング下でフレカイニドを25 mg/m2/dayより開始し, 順次漸増した. 投与量が50 mg/m2/dayに達した翌日より, Δ波は消失し, 心エコーにおける心室同期および収縮の改善を認めた. フレカイニド血中濃度は91 ng/mlで, QRS延長などの心電図変化は見られなかった.
【結語】心室非同期を伴うWPW症候群に対するフレカイニド投与の報告は少ないが, アブレーションのリスクが懸念される乳児例においては, 心室同期と収縮の改善を得るために有効かつ安全な治療法である可能性がある.
心室非同期や心機能低下を伴うWPW症候群に対する薬物療法は, ごく少数の報告が散見されるのみで, 治療効果について一定の見解は得られていない.
【症例報告】
生来健康な3か月女児. 顔色不良を主訴に当院来院し, 12誘導心電図にて左脚ブロック波形を伴うlong RP'頻拍 (272 bpm)を認めた. 迷走神経刺激により洞調律へ復帰し, 洞調律時の心電図でΔ波を認め, 右前中隔の副伝導路が疑われた. 洞調律時の心エコーでは, M-modeにおける心室中隔の非同期を認め, LVEF 48. 5 % (modified Simpson法)と低下していた. Speckle trackingでは前中隔領域の非同期を認めた. 洞調律復帰後, 本人に心不全徴候は見られず, 胸部レントゲンはCTR 51 %・肺うっ血なし, BNPは29. 0 pg/mlであった. 頻拍再発予防のため, プロプラノロール内服を開始したが, 1か月後に上室頻拍の再発を認め, その際ATP投与により頻拍が左脚ブロック波形から正常QRS波形へ変化したことより, 変行伝導を伴うorthodromic AVRTと診断した. 低年齢かつ体格が小さいため, アブレーションのリスクを考慮し, 抗不整脈薬の追加により頻拍予防を行う方針となった. 入院モニタリング下でフレカイニドを25 mg/m2/dayより開始し, 順次漸増した. 投与量が50 mg/m2/dayに達した翌日より, Δ波は消失し, 心エコーにおける心室同期および収縮の改善を認めた. フレカイニド血中濃度は91 ng/mlで, QRS延長などの心電図変化は見られなかった.
【結語】心室非同期を伴うWPW症候群に対するフレカイニド投与の報告は少ないが, アブレーションのリスクが懸念される乳児例においては, 心室同期と収縮の改善を得るために有効かつ安全な治療法である可能性がある.