第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

外科治療

ポスターセッション26(I-P26)
外科治療 1

2019年6月27日(木) 17:40 〜 18:40 ポスター会場 (大ホールB)

座長:小沼 武司(三重大学附属病院 心臓血管外科)

[I-P26-03] 当院における心臓手術後縦隔炎に対する治療法の変更と成績

菅野 勝義, 長門 久雄, 廣瀬 圭一, 村田 眞哉, 石道 基典, 太田 恵介, 渡辺 謙太郎, 坂本 喜三郎, 猪飼 秋夫 (静岡県立こども病院 心臓血管外科)

キーワード:術後縦隔洞炎, 一期的創閉鎖, デブリードメント

背景
縦隔炎は心臓外科手術後の重篤な合併症の一つである。成人領域では抗菌薬投与に加えて, 開胸洗浄反復や持続洗浄後の大網充填や有茎筋皮弁を併用した再閉胸といった治療が行われてきたが、小児領域では、入念な掻把と一期的閉胸に抗菌薬投与の併用で治癒が得られるとする報告がある。当院は以前、開胸ドレナージ後の連日洗浄を経て二期的閉胸を行っていたが、近年一期的閉胸の方針へ転換した。
目的
当院の術後縦隔炎治療について、治療法と成績について評価する。
対象・方法
2011/4/1から2018/3/31に施行した胸骨正中切開手術後に発症した縦隔炎症例。
旧治療(2017年5月以前):開胸ドレナージ後、開胸管理。ICUで連日洗浄と細菌培養検査。近接二回分の培養が陰性となった時点で二期的胸骨閉鎖し、抗菌薬投与4-6週間。持続陰圧吸引療法併用例があるが、使用に際して基準はなし。
現方針(2017年6月以降):開胸ドレナージ時に積極的な感染組織の掻把除去・洗浄を行い、一期的胸骨閉鎖。抗菌薬投与6週間。
結果
胸骨正中切開1562件(人工心肺使用1384件、非使用178件、二期的胸骨閉鎖184件)。縦隔炎発症27例。縦隔炎発症例の状態は二心室根治後13例、TCPC後4例、姑息術後10例。二期的胸骨閉鎖後6例。起炎菌はMSSA7、MRSA5、CNS9、緑膿菌5、インフルエンザ菌1、放線菌1、カンジダ1、重複含む。旧治療20例(D群)、現方針7例(P群)。以下2群間比較D対P
発症から手術介入まで中央値1日(IQR1-3.5)対1日(IQR1-3)
D群の開胸処置日数中央値5.5日(IQR 3-6)
挿管時間平均192.1±121.5時間対16.3±30.9時間(p=0.0015)
ICU入室期間中央値15日(IQR13.5-33.8)対4日(IQR2-8.5)(p<0.001)
術後入院期間中央値50日(IQR35.8-98)対45日(IQR42-68)
縦隔炎関連死亡なし。閉胸後縦隔炎再発なし。感染性心内膜炎による再手術がP群に1例。
結語
現方針は治癒成績を悪化せず、挿管時間とICU入室期間の短縮を得た。患者及び医療者の負担を軽減できる。