[II-OR29-03] 光干渉断層像(Optical Coherence Tomography:OCT)による肺循環・肺血管病変の評価
Keywords:Optical Coherence Tomography, 肺動脈, 先天性心疾患
【背景】肺循環の評価には通常、肺動脈圧・血管抵抗や薬剤反応性試験などが主な指標として用いられる。病理学的診断による重症度判定は望ましいものの困難で、診療上の利用は少ない。光干渉断層像(OCT)を用いた肺動脈壁肥厚などの内中膜病変の進行の報告は少なく、小児心疾患症例における有用性はまだ確立されていない。肺血管病変進行をOCTで定量化できれば、予後予測および加療による病態変化観察に応用でき、有用性が高まると考えられる。【目的】OCTを用いて描出した肺動脈壁と肺循環動態を比較・検討し、有用性を検証する。【方法】原発性肺高血圧症、先天性心疾患術前術後を対象とした。ILUMEN FD-OCT Imaging Systemを用いて観察した。【結果】1.血管径1.0~5.0mmの肺動脈を観察したところ、2.0-3.0mmでも明瞭に観察された。2.従来、肺動脈壁は1層として観察されると報告されているが、36%では3層構造が観察された。3.血管径2.0-3.0mmにおいて肺動脈壁厚は平均肺動脈圧と正相関を認め、肺動脈コンプライアンスと負相関を認めた(r = 0.56, p<0.01 r = -0.49, p<0.01)。4.低酸素血症・肺血流量低下の影響を検討するために、両方向性グレン術後患者のOCT所見を検討したところ、対象群と比較して肺動脈壁厚は有意差が無かったが、vaso vasorumの有意な増加が認められた(外膜におけるvasa vasorumの面積比率 14.5 ± 3.5% vs. 5.3 ± 1.6 %, p<0.0001)。【考察】小児心疾患症例の肺血管病変評価がOCTで可能であることを示した。測定部位や病理組織学的所見との比較検討などの課題はあるが、OCT画像評価は肺循環動態を反映していると考えられた。 【結語】OCTによる画像評価は肺血管リモデリングや重症度評価、治療効果などの臨床的有用性があるものと考えた。