[II-P45-05] 腹痛を主訴とした心嚢気腫の7歳男児例 心膜摩擦音はHamman's signと同義か
Keywords:心嚢気腫, Hamman's sign , 腹痛
【目的】腹痛を主訴とした心嚢気腫の1例を経験したので報告する。【症例】(現病歴)生来健康な7歳男児。40分程度急歩し駅に到着したが腹痛を訴えた。30分程度乗車後腹痛増強したため近医を受診し吸入を受けた(診断不明)。しかし、痛む範囲が胸部・咽頭へ拡大増強するため当院を受診した。(診察所見)発熱なく顔面軽度蒼白。聴診上、肺野清。心音正常だが心膜摩擦音を胸骨左縁中部~下部に聴取。腹部所見異常なし。(検査所見)ECG上QRS軸+60洞性リズム(HR100/分)ST変化なし。胸部XP上心胸比49.2%心肺異常無し。左気管支付近・頸椎左縁に透過性亢進あり。胸骨左縁エコーウインドウ無く心エコー図(Echo)は剣状突起下から実施したが心嚢液貯留は無かった。胸部単純CTで心臓周囲と縦隔にのみfree air を認め心嚢気腫・気縦隔と診断した。(治療)入院安静酸素投与で痛みは徐々に軽減。入院4日目より胸骨左縁からEcho可能となり心膜摩擦音も消失した。入院10日目、CT上ほぼFree air 消失。Echo上心機能良好で心嚢液無く経過。血液検査異常無く歩行で再発無いことを確認した上で退院とした。【考案】心嚢気腫は新生児期、思春期以降に好発するが本例は7歳で年齢的に稀である。発症原因は不明だったが気胸合併なく気管・近位気管支壁の破綻によりair leakが生じた可能性がある。腹痛は心外膜圧迫によるものと思われた。病態から聴診上心膜摩擦音と判断したものはHamman徴候と同一と思われる。本例は「拡張障害」無く軽快したが、放置すればfree airによる「タンポナーデ」が生じた可能性がある。【結論】(1)心嚢気腫の7歳男児例を報告した。 (2)気縦隔を伴っていたが気胸は無かった。 (3)心膜摩擦音を聴取したが心嚢液貯留は全く無くHamman’s signと同一と思われた。 (4)安静と酸素投与により軽快したが「タンポナーデ」至るリスクがあるものと思われた。