第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

小児心電図研究会・日本小児循環器学会学校検診部会 合同セッション

小児心電図研究会・日本小児循環器学会学校検診部会 合同セッション(II-SKK)
解説セッション:心電図判断基準の改訂ポイント

2019年6月28日(金) 15:30 〜 16:30 第7会場 (204)

座長:鮎澤 衛(日本大学医学部 小児科学系小児科学分野)
座長:堀米 仁志(筑波大学医学医療系 小児科)
コメンテーター:長嶋 正實(愛知県済生会リハビリテーション病院)

[II-SKK-02] 抽出基準の改訂ポイント−電位異常の判定

牛ノ濱 大也1,2, 阿部 勝己2, 泉田 直己2, 岩本 眞理2, 住友 直方2, 田内 宣生2, 堀米 仁志2, 吉永 正夫2, 長嶋 正實2 (1.大濠こどもクリニック, 2.小児心電図研究委員会)

キーワード:学校心臓検診, 心電図, 左室肥大

日本小児循環器学会「学校心臓検診二次検診対象者抽出のガイドライン」では、R,S波、SV1+RV5,SV1+RV6に関して点数制による心室肥大判定基準に依拠し、右室肥大・左室肥大抽出基準として取り扱われ男女別に3~11歳、12歳以上に分け表現されている。現在の学校心臓検診に準じ小学1年、中学1年、高校1年生の男女別の抽出基準について検討する必要である。今回、2006年から2009年に鹿児島市の学校心臓検診を受診した、小学校1年生19,367名(男子9849名、女子9518名)、中学1年生20,559名(男子10,401名、女子10,868名)、高校1年生16,299名(男子8096名、女子8203名)、合計56,753名の心電図を対象に検討した。現基準では右室肥大は、RV1:3~11歳の男女≧2.0mV、12歳以上の男≧2.0mV、女≧1.5mV、|SV6|:3~11歳の男女≧1.0mV、12歳以上の男≧1.0mV、女≧1.0mV、左室肥大は、RV6:3~11歳の男女≧3.0mV、12歳以上の男≧3.0mV、女≧2.5mV、RV5:3~11歳の男女≧4.0mV、12歳以上の男≧4.0mV、女≧3,5mV、SV1+RV6:3~11歳の男女≧5.0mV、12歳以上の男≧5.0mV、女≧4.0mV、SV1+RV5: 3~11歳の男女≧6.5mV、12歳以上の男≧6.0mV、女≧5.0mVが抽出基準値となっている。RV1現基準値は、今回の検討では小中高の男女とも99.95~99.98percentile値またはそれ以上を示し、|SV6|は、小中高の男女とも0.02~0.05percentile値またはそれ以上を示す。RV6現基準値は、中1男99.8 percentile値以下、高1男99.6 percentile値以下、RV5現基準値は、中1男、高1男とも99.6 percentile値以下を示した。SV1+RV6現基準値は、中1男99.6 percentile値以下、中1女99percentile値以下、高1男99percentile値以下、高1女99.6 percentile値以下、SV1+RV5現基準値は、中1男女とも99.8percentile値以下、高1男99.5 percentile値以下を示した。以上より現基準値は、右室肥大では変更する必要はないが、左室肥大では中高で過分に抽出する可能性があり、変更が適切ではないかと考えられる。