[II-SKK-02] 抽出基準の改訂ポイント−電位異常の判定
キーワード:学校心臓検診, 心電図, 左室肥大
日本小児循環器学会「学校心臓検診二次検診対象者抽出のガイドライン」では、R,S波、SV1+RV5,SV1+RV6に関して点数制による心室肥大判定基準に依拠し、右室肥大・左室肥大抽出基準として取り扱われ男女別に3~11歳、12歳以上に分け表現されている。現在の学校心臓検診に準じ小学1年、中学1年、高校1年生の男女別の抽出基準について検討する必要である。今回、2006年から2009年に鹿児島市の学校心臓検診を受診した、小学校1年生19,367名(男子9849名、女子9518名)、中学1年生20,559名(男子10,401名、女子10,868名)、高校1年生16,299名(男子8096名、女子8203名)、合計56,753名の心電図を対象に検討した。現基準では右室肥大は、RV1:3~11歳の男女≧2.0mV、12歳以上の男≧2.0mV、女≧1.5mV、|SV6|:3~11歳の男女≧1.0mV、12歳以上の男≧1.0mV、女≧1.0mV、左室肥大は、RV6:3~11歳の男女≧3.0mV、12歳以上の男≧3.0mV、女≧2.5mV、RV5:3~11歳の男女≧4.0mV、12歳以上の男≧4.0mV、女≧3,5mV、SV1+RV6:3~11歳の男女≧5.0mV、12歳以上の男≧5.0mV、女≧4.0mV、SV1+RV5: 3~11歳の男女≧6.5mV、12歳以上の男≧6.0mV、女≧5.0mVが抽出基準値となっている。RV1現基準値は、今回の検討では小中高の男女とも99.95~99.98percentile値またはそれ以上を示し、|SV6|は、小中高の男女とも0.02~0.05percentile値またはそれ以上を示す。RV6現基準値は、中1男99.8 percentile値以下、高1男99.6 percentile値以下、RV5現基準値は、中1男、高1男とも99.6 percentile値以下を示した。SV1+RV6現基準値は、中1男99.6 percentile値以下、中1女99percentile値以下、高1男99percentile値以下、高1女99.6 percentile値以下、SV1+RV5現基準値は、中1男女とも99.8percentile値以下、高1男99.5 percentile値以下を示した。以上より現基準値は、右室肥大では変更する必要はないが、左室肥大では中高で過分に抽出する可能性があり、変更が適切ではないかと考えられる。