[II-TRP04-03] 心臓移植待機中の長期入院患児と家族の外出に対する思いの変化~外出提案から実施まで~
キーワード:心臓移植待機, 強心薬, 外出
【背景】心臓移植待機中で、強心薬の持続投与をしている長期入院患児のQOL向上を目的に自宅外出を試みた。外出の提案時には消極的であった家族が外出を決断し、積極的姿勢を示すようになった経緯や外出による患児と家族の思いの変化を明らかにしたいと考えた。【目的】心臓移植待機中の患児・家族の外出に対する思いと外出に行く決断から外出後の思いの変化を明らかにする。【方法】患児・両親に半構造化面接を行い時系列にまとめ記述分析を行った。【結果】両親は、強心薬を投与しながらの外出はできないと考えていた。しかし、外出の提案を受けて両親は「出来るなら連れて帰りたい」という思いと「体調が悪化するのが一番嫌」という思いを抱いていた。外出の提案時、父から段階的にやりたいという意向があり、多職種と連携しADL拡大に向け段階的に援助した。その結果、患児のADLが拡大し体調悪化もなかった。外出を決意した動機は患児の体調の安定とストレスの増大、同胞の誕生日が重なったことであった。外出を無事に終了し、その後も定期的な外出を継続したことで家族間の交流や患児の活動が増えた。【考察】患児は心臓移植を受けることが第一である。リスクを伴う外出は生命に大きく関わる事象であり、不安を抱き消極的とならざるを得ず、両親は難色を示したと考える。両親の思いに沿い、無理せず段階的に外出に向けての準備を両親と医療者が同じ目標を持ちながら両親主体で進めたことで患児のADL拡大に繋がるとともに両親の不安軽減もでき、外出を可能にしたと考える。【結論】両親は強心剤の持続投与に伴い、移植ができるまで病院から出ることができないと考えていたが、外出を提案したことにより自宅に連れて帰りたいという思いと連れて帰ることのリスクを持ちながらも、他職種連携による家族の意向に合わせた外出準備を行うことで、心臓移植待機中の外出が可能であることが示唆される。