[III-OR37-03] 健常児童生徒におけるQT時間の日内変動とHolter心電図でのQT延長抽出基準値に関する検討
Keywords:Holter ECG, QT延長, 接線法
【背景】QT時間には日内変動がみられ、QT延長症候群では夜間や起床時に心イベントが起きうることはよく知られている。現在まで健常児における日内変動の報告は少なく、Holter心電図での異常値(抽出基準値)が決められていない。【目的】健常児童生徒におけるQT時間の日内変動を検討し、Holter心電図での抽出基準値(暫定値)を求めること。【方法】健常小児96名(小学生低学年31名、高学年32名、中高校33名)のHolter心電図を用いた。深夜(睡眠中で総心拍数/1時間が最低の時刻)、起床時、日中の活動帯(午前; 起床~12:00、午後; 12:00~18:00、夜; 18:00~就寝、各時間帯で総心拍数/1時間が最大の時刻)の5時間帯から、最大・最低・平均心拍数時の3枚の心電図を抽出した。個々の心電図から連続3心拍のQT/RR時間を接線法で求め、Fridericia法による補正値(QTc)を用いた。【結果】QTc値は、全年齢群、全時間帯において、最大心拍数時は最低心拍数時より有意に長かった(P<0.001)。最大心拍数におけるQTc値(maxQTc値)は、全年齢群で深夜が最も長く、午前または午後の活動帯が最も短かった。性差は認めなかった。深夜のmaxQTc値の平均値(M)±標準偏差(SD), 最大値, M+2SD値は小学低学年で420±18 , 449, 456 msec、高学年で430±19 , 468, 468 msec、中高校で437±14 , 460, 465 msecであった。【考察】深夜の最高心拍数時におけるQTc値が1日中で最も延長していた。Holter心電図検査を用いたQTc高値抽出の暫定値は、最大値、M+2SDを考慮すると小学低学年で460 msec以上、小学高学年・中学高校で470 msec以上が妥当と考えられた。