[III-S11-04] AEDを用いて蘇生された学校検診遺残リスク例の検診心電図の検討:QT延長症候群
キーワード:心臓突然死, 学校検診, QT延長
【背景と目的】従来、心臓性突然死に至った例の臨床診断は困難で、さらに検診心電図の検討の機会も限定的であった。近年、AEDによる蘇生例が経験される様になり、心室細動に至った例の臨床診断例の検診心電図の検討の機会は重要である。日本小児循環器学会の全国調査(2005-09年)(Circ J 2014)では、児童生徒の院外心停止例58例中、30例(52%)が経過観察無し(心電図検診遺残リスク)例であり、その中で心電図検診抽出困難な疾患(冠動脈起始異常、CPVT、iVF)が14/30例(47%)を占めた。他に診断不能例、急性心筋炎、心電図所見の乏しい一部の心筋疾患(HCM2, NLV2, DCM1)を除く5例が QT延長症候群(LQT)で、内3例は睡眠時であり、学校AEDの恩恵を受けられず問題となる。当科で2008-18年に経験した児童生徒の蘇生された院外心停止10例中(LQT2例、iVF2、HCM1、DCM1、心臓腫瘍1、WPW1、CHD術後1、心臓震盪1)、睡眠時発症のLQTの2例の検診心電図所見を報告する。【症例1】12歳男児。早朝睡眠中に目覚まし時計と同時に自宅で発症し、救急隊のAEDで病院前自己心拍再開したが、重度精神運動障害を合併(CPC4)。繰り返す失神の既往の心電図の検討でLQT2と診断されたが、発症5m前の中1の検診心電図で、QT延長を伴わない結節性T波を認めた。【症例2】15歳女児。睡眠時朝方に喘ぎ呼吸で発症し、救急隊のAEDで病院前自己心拍再開し、社会復帰した(CPC1)。小4、中1の検診心電図でLQTが指摘された。再検時にQT正常化し経過観察が中断されていたが、結節性T波を認めた。【結語】学校検診遺残リスク例の内、学校AEDの時代の恩恵を受けない LQT2の検診心電図診断において、JCS学校検診ガイドラインに記載のない結節性T波が一助になる可能性が示唆された。