[II-PD05-5] 小児心臓移植における脳神経障害による移植適応除外についての検討
Keywords:小児心臓移植, 脳神経障害, 移植適応評価
背景小児重症心不全における心臓移植適応評価は全身疾患の検索が必須となる。しかし年齢・体格や集中治療のため診断が難しく代用的検査で適応に至ることもある。また適応評価後に不可逆性障害が同定されることもあり、適応外の評価は大きな問題点の一つである。目的Berlin Heart EXCORが保険償還された2015年8月以降に当院で脳神経障害による心臓移植適応外と診断した小児重症心不全8症例を後方視的に検討し問題点を考察する。結果全例診断はDCM、発症年齢は中央値0歳3ヶ月とほぼ乳児期発症であった。適応外理由は低酸素性脳症・脳梗塞4例、ミトコンドリア病・脳形成異常3例、広汎性発達障害1例であった。ECMO装着後症例が8例中6例認め、1例が現在装着中、5例がECMO離脱可能であった。しかし離脱後平均2ヶ月で4例が死亡、1例が外来管理できている。上記の6例に対しECMO装着も神経学的異常のない4例と比較検討した。両群全例でカテコラミン持続点滴・人工呼吸管理・深鎮静で管理されていた。適応外6例は発症が低年齢(5.5ヶ月vs. 4歳)、長い搬送時間(5.1時間vs. 1.7時間)、BNP高値(3408.6g/ml vs. 986.6pg/ml)において有意な差が認められた。例外として当院近隣で発生した9歳DCMは到着1時間でECMO装着も低酸素性脳症と診断、心機能回復によりECMO離脱。その後数年を経過しリハビリ等で重症心身障害が改善し移植適応を再検討する例もある。結語・考察低年齢発症DCMはECMO装着前にできるだけ近隣の心臓移植施設もしくはVAD認定施設への情報共有が望まれる。またBNP値がそのリスクを予測できるかもしれない。CT等では判別できない脳神経疾患も多く、多様な検査が可能な早い段階での診断が望まれる。ただECMO離脱後に神経学的サポートを行えば、将来心臓移植を再検討する可能性も残されている。