[II-TRPAL-3] 離床開始後に遅発性心タンポナーデを発症した開心術の2症例
キーワード:開心術, 早期リハビリテーション, 遅発性心タンポナーデ
【背景】先天性心疾患に対し開心術を施行し、多職種による術後早期離床・リハビリテーション(以下早期リハ)開始数日後に、遅発性心タンポナーデを発症した2例を経験したので報告する。
【目的】発症群と非発症群の術前/術中/術後因子を検討、リスク管理の一助とする。
【対象】2018年5月~2019年12月、早期リハ介入を行った179例、内10歳以上で手術アプローチが胸骨正中切開であった11例、発症群2例(14±4歳)、非発症群9例(17±6歳)を対象とした。
【方法】1)患者背景2)術式、手術時間、人工心肺時間、術中輸血3)閉胸後ドレーン留置期間、術後抗凝固療法、術後自力体交/座位/立位に要した日数、介入初回血液検査データを収集、後方視的に比較した。
【結果】2例は閉胸後4日と6日に発症、両者胸骨からの出血だった。1例は閉胸後1日にヘパリン、1例は3日にアスピリンにて抗凝固療法を開始していた。以下発症群/非発症群順に、1)BMI20.5±2/16.8±2。2)大動脈弁置換術1例/1例、右室流出路再建術1例/4例、VSD・ASD閉鎖術0例/4例。手術時間406±36分/285±107分、人工心肺時間177±33分/112±62分。術中輸血1例/2例で無輸血1例/7例。3)ドレーン留置期間2±1.4日/1.3±0.6日、抗凝固療法2例/4例(ヘパリン1例/1例、アスピリン1例/3例、ワーファリン1例/1例)。自力体交2±1病日/1病日、座位2.5±0.7病日/1.2±0.4病日、立位6±5病日/2.4±1.0病日であった。血液検査データは、PLT(103/μl)85.5±19/138±36、Fg(mg/dl)283.5±44/256±33、APTT(sec)42.9±11.8/30.3±2.5であった。
【考察】閉胸後の自力体交日数等は概ね差は無く、離床速度の影響は不明だった。しかし、発症群は両者抗凝固療法を施行、介入初回の血液検査データでPLT低値とAPTT延長の傾向を認め、非発症群に比較し易出血傾向であった。BMIも大きく起居動作時の胸郭捻転など胸骨に対する物理的影響が強かった可能性がある。以上を胸骨正中切開後の症例に早期リハ介入を行う上のリスク因子として、留意が必要と思われた。
【目的】発症群と非発症群の術前/術中/術後因子を検討、リスク管理の一助とする。
【対象】2018年5月~2019年12月、早期リハ介入を行った179例、内10歳以上で手術アプローチが胸骨正中切開であった11例、発症群2例(14±4歳)、非発症群9例(17±6歳)を対象とした。
【方法】1)患者背景2)術式、手術時間、人工心肺時間、術中輸血3)閉胸後ドレーン留置期間、術後抗凝固療法、術後自力体交/座位/立位に要した日数、介入初回血液検査データを収集、後方視的に比較した。
【結果】2例は閉胸後4日と6日に発症、両者胸骨からの出血だった。1例は閉胸後1日にヘパリン、1例は3日にアスピリンにて抗凝固療法を開始していた。以下発症群/非発症群順に、1)BMI20.5±2/16.8±2。2)大動脈弁置換術1例/1例、右室流出路再建術1例/4例、VSD・ASD閉鎖術0例/4例。手術時間406±36分/285±107分、人工心肺時間177±33分/112±62分。術中輸血1例/2例で無輸血1例/7例。3)ドレーン留置期間2±1.4日/1.3±0.6日、抗凝固療法2例/4例(ヘパリン1例/1例、アスピリン1例/3例、ワーファリン1例/1例)。自力体交2±1病日/1病日、座位2.5±0.7病日/1.2±0.4病日、立位6±5病日/2.4±1.0病日であった。血液検査データは、PLT(103/μl)85.5±19/138±36、Fg(mg/dl)283.5±44/256±33、APTT(sec)42.9±11.8/30.3±2.5であった。
【考察】閉胸後の自力体交日数等は概ね差は無く、離床速度の影響は不明だった。しかし、発症群は両者抗凝固療法を施行、介入初回の血液検査データでPLT低値とAPTT延長の傾向を認め、非発症群に比較し易出血傾向であった。BMIも大きく起居動作時の胸郭捻転など胸骨に対する物理的影響が強かった可能性がある。以上を胸骨正中切開後の症例に早期リハ介入を行う上のリスク因子として、留意が必要と思われた。