[OR05-3] 心外膜下脂肪組織の臨床的意義:川崎病冠動脈病変部位での検討
キーワード:川崎病, 心外膜下脂肪組織, 冠動脈病変
【背景】心外膜下脂肪組織(EAT)は心臓に密着する内臓脂肪で、炎症やケミカルメディエーターの放出により冠動脈病変形成への関与の可能性が示唆されている【目的】川崎病冠動脈障害例(CALs)の病変と同部位でのEATの関係を検討する【方法】冠危険因子を認めず急性期から10年以上経過したCALs合併8例(KD群:年齢平均21.7歳)と年齢をマッチさせた健常対照8例(C群)を対象に後方視的検討を行った。EATの計測はMDCTで-200~50 Hounsfield units (HU)で描出し、解析用Zioworkstation 1(ZIO NG1, Amin Co,Ltd)でEAT容積(ml)と容積指数(ml/BSA)を計測した。また前室間溝(LAD近位部)、前房室間溝(RCA近位部)、後房室間溝(Cx中位部)及び大動脈前面のEATのCT値を計測した。同一冠動脈内でCAL部と前後のEATCT値の最大変化率(%)を求め、冠動脈最大瘤径(max Z-score)、および冠動脈狭窄率(% stenosis)との関係を検討した。【結果】KD群8例のmax Z-scoreは8.2±4.9、EAT容積指数はC群、KD群それぞれ8.2±2.1、10.7±3.3 ml/m2で有意差はなかった。EAT CT値は大動脈前面およびCx前面で、両群に差はなかったが、LAD前面(-80.0±9.2, -94.3±19.9 (HU), p=0.038)、RCA前面(-77.6±15.0, -97.0±19.1 (HU), p=0.002)ではC群に比べKD群で有意に低値をとった。CAL前後のEATCT値を計測した15枝の検討ではLADに比べRCAで有意に最低EATCT値(-107.1±18.4 vs. -117.6±17.6 (HU)、変動率(20.8±11.1vs.48.2±22.1(%))とも高値をとった。LADの最低EATCT値とmax Z-scoreとに有意な相関関係(r=-0.525)を認めたが、RCA領域では相関はなかった。狭窄率との有意な関係は認めなかった。【結論】KD群ではCAL領域に一致しEATCT値は低値を示し、LAD領域ではリモデリング指標との相関が得られ、EATは冠動脈病変形成に関与している可能性が示唆された。