[OR11-2] 大動脈縮窄複合において大動脈弁輪径が術後急性期に与える影響
Keywords:大動脈弁低形成, 大動脈縮窄複合, 術後急性期
【背景】大動脈弁低形成を伴う大動脈縮窄複合におけるYasui手術の適応については、いくつかの判断基準が報告されており、大動脈弁輪径が体重+1mm未満、大動脈弁輪径4mm以下などが挙げられる。一方、単純なICR(VSD patch closure + Coarctation repair)を選択したとしても、大動脈弁輪径が小さい症例では術後管理に難渋することが予想されるが、その影響についての報告はない。【目的】新生児・乳児期に一期的にICRを行った大動脈縮窄複合症例に対し、大動脈弁輪径が術後急性期管理に対して及ぼした影響について検討を行う。【方法】2014年から2020年に当院でICRを行われた大動脈縮窄複合11例(体重: 2.8-4.5kg,中央値3.0kg, ICR時の日齢: 9-56day,中央値9day)。術前心エコーで得られた大動脈弁輪径と、周術期への影響(PICU在室期間、呼吸器離脱までに要した日数、ドレーン留置日数、腹膜透析の有無、OPE室における閉胸の有無)について検討。【結果】大動脈弁輪径(実測値: 4.3-7.0mm,中央値5.0mm, z value: -0.87から-6.88,中央値-5.45, %Normal: 63-94%,中央値69%)であった。全例が大動脈弁輪径4mm以上かつ体重+1mm以上を満たしており、Yasui手術を行った症例は無し。大動脈弁輪径z value<-6 の3例にのみ、手術室における閉胸不能(2/3例)、腹膜透析の導入(2/3例)を認めた。大動脈弁輪径z value>-6の8例ではOPE室閉胸が可能であり、腹膜透析も要さなかった。PICU在室(4-10日、中央値7日)、呼吸器離脱(2-8日、中央値3日)、ドレーン留置(2-7日、中央値5日)については大動脈弁輪径との相関を認めなかった。術後(経過年数0-5.6年,中央値1.2年)において死亡例を認めていない。【考察】z value<-6.0をcut off値として術後急性期管理に難渋することが多くなる傾向が認められた。【結論】大動脈縮窄複合において大動脈弁輪径評価により術後急性期管理の困難度予測が可能である。