[OR11-3] 小児心臓手術術後管理における、呼吸器合併症軽減を目指した呼吸理学療法の有効性
Keywords:理学療法, 術後管理, 集中治療
【背景】当院では2018年4月より、集中治療室(ICU)において以下の要領で理学療法士による積極的な呼吸理学療法を行っている。ICU入室後循環動態の安定が確認され次第、頭部挙上による体位ドレナージを中心に左右側臥位とする。必要に応じて腹臥位も導入し、それぞれ2時間を目安に体位変換を行う。抜管後も引き続き継続する。【目的】当院で施行している術後早期の呼吸理学療法の効果について、後方視的に検討する。【方法】2016年9月から2020年1月までに当院で施行された2歳以下の心臓血管手術症例のうち、重症気道狭窄やECMO使用症例を除いた連続39例を対象とした。2018年3月以前の施行症例をA群(19例(うち21 trisomy5例)RACHS-1 category 1=5例 2=5例 3=7例 4=2例、平均体重6.8kg)、2018年4月以降をB群(20例(うち21 trisomy8例、Heterotaxy1例)RACHS-1 category 1=1例 2=8例 3=10例 4=1例、平均体重5.5kg)として、比較検討を行った。【結果】平均ICU滞在期間A群7.1日:B群3.9日、挿管期間5.5日:1.2日であった。1肺区域以上の完全閉塞を伴う無気肺は、4例(21.1%):0例(p=0.047)、再挿管は1例(5.3%):0例であった。【結論】術後早期からの呼吸理学療法を導入後、無気肺の発生は有意に減少した。積極的な呼吸理学療法により呼吸器合併症が減少し、早期の全身状態回復が得られる可能性が示唆された。