[OR11-4] カテーテル留置に伴う中心静脈閉塞~単心室患者における現状とその背景についての検討
Keywords:中心静脈カテーテル, 単心室, 中心静脈閉塞
【背景】 中心静脈カテーテル(以下CVカテ)留置の合併症である中心静脈閉塞は、先天性心疾患児の検査や治療の妨げとなる。前回我々は、単心室症例の24%で中心静脈閉塞を認め、心疾患の重症度、初回留置時の体格、血管あたりののべ留置期間と関連があることを報告した。今回は新たな症例の追加と、前回検討した症例の追跡を行うことにより、中心静脈閉塞のより詳細な臨床像について検討した。 【方法】 2016年1月~2018年12月に出生し、2019年12月までに当院で心臓手術を施行した単心室患者125例について、CVカテを留置した延べ297本の中心静脈を対象として血管閉塞との関連を後方視的に検討した。 【結果】 CVカテ留置部位は右内頚静脈が116本(39.4%)と最も多かった。CV初回留置時の平均体重3601g、平均日齢56、それぞれの血管に対する平均初回留置期間7.7日、平均のべ留置期間11.8日、平均留置回数1.6回であった。閉塞した血管は43本(14.5%)であった。血管あたりの検討では、初回留置時の体格が小さく(体重3689g vs 5391g,p<0.05, BSA0.24m2 vs 0.31m2,p<0.05 )、初回留置期間(12.2日vs 6.4日,p<0.05)、のべ留置期間(14.4日vs9.5日,p<0.05)が長い血管がより閉塞しやすかった。閉塞した血管の70%(30本)はGlenn手術前までに閉塞していた。Glenn手術前までに閉塞した血管のみに注目すると、血管の閉塞はGlenn手術前に多くの手術(2.3回vs1.4回,p<0.05)を要する状況下で発生しており、初回留置期間がより長い血管が閉塞していた(11.9日vs8.7日,p<0.05)。【結論】以前の検討同様、初回留置時の体格と留置期間が血管閉塞に関連していた。多くの血管閉塞は体格の小さいGlenn手術前に認められており、特にGlenn手術前までに複数回の手術が必要な症例は血管閉塞のハイリスク群であるため、血管閉塞予防により留意すべきである。