The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

複雑心奇形

デジタルオーラル(II)13(P13)
複雑心奇形3

指定討論者:北野 正尚(沖縄県立南部医療センター・こども医療センター小児循環器内科)

[P13-4] 先天性心疾患に壊死性腸炎を合併した9症例の検討

矢野 悠介1, 林 立申1, 塩野 淳子1, 堀米 仁志2 (1.茨城県立こども病院 小児循環器科, 2.筑波大学大学医学医療系 小児科)

Keywords:壊死性腸炎, 先天性心疾患, 心不全

【背景・目的】先天性心疾患を有する新生児は、壊死性腸炎(NEC)を発症するリスクがある。NECは緊急手術を要することもあり、血便などの症状を呈した場合鑑別に挙げるべき重要な疾患である。先天性心疾患を有し、壊死性腸炎を発症した症例の臨床像について検討した。【方法】過去5年間に先天性心疾患で、NECと診断された症例の患者背景、臨床像を診療録から後方視的に検討した。【結果】症例は9例(男児5例)で、心疾患は両大血管右室起始症が2例、多脾症、無脾症、三尖弁閉鎖、完全型房室中隔欠損、完全大血管転位、重度肺動脈弁狭窄、心室中隔欠損があった。3例が肺血流動脈管依存疾患でPGE1製剤の持続静注をされていた。在胎週数37から40週(中央値39週)、出生体重2,093から3,317g(中央値2,879g)、NEC診断日齢1から30日(中央値8日)、NEC発症時SpO2 70から98%(中央値93%)だった。SpO2 70%台の2例に高度房室弁逆流が認められた。呼吸障害を呈していたものが5例、挿管人工呼吸器管理されていたものが4例だった。6例が腹部エコーで門脈気腫や腸管壁内気腫を、また6例は腹部レントゲンで腸管壁内気腫や腹腔内遊離ガスを指摘された。発症前に心臓カテーテルを行っていたものが5例(うち4例が治療)いた。3例で試験開腹および腸瘻造設を行い、うち2例は死亡した。【考察】NECを発症した症例はチアノーゼ性疾患で肺血流増加が疑われるものが多く、またSpO2 70%台の2例は高度房室弁逆流を伴っていた。カテーテルや全身麻酔など循環動態の変動が重なるとNECのリスクが高くなると考えらえた。【結論】先天性心疾患を持つ患者が血便を呈した場合、上記のリスクを踏まえて鑑別する必要がある。