[P37-2] カテコラミン産生腫瘍に合併した2次性心筋肥大症の1例
キーワード:肥大型心筋症, カテコラミン産生腫瘍, 高血圧
【症例】5歳男児
【周産期歴】在胎40週3日、3300g
【成長・発達歴】発達の遅れの指摘は無し
【既往歴】熱性痙攣、慢性便秘症
【現病歴】
X日午前2時頃に嘔吐し意識レベルが低下したため救急要請された。頭部CTで右尾状核に出血を認めたため入院となった。
【入院後経過】
脳神経外科併診で保存加療を行った。来院時から高血圧だったのでカルシウム拮抗薬を開始した。入院第1病日の心臓超音波検査で左室心筋の著明な肥厚を認め、肥大型心筋症と診断しβ遮断薬を開始した。頭部MRIから急性散在性脳脊髄炎を疑い、ステロイドパルス、グロブリンの投与を行った。また、心臓MRIでは心筋の非対称な肥厚を認めた。β遮断薬開始後から血圧が上昇したためカルシウム拮抗薬を増量、ACE阻害薬やニトログリセリンも投与したが血圧管理に難渋した。入院第10病日に慢性便秘症に対して撮影した腹部X線写真で左上腹部に便塊と思われる石灰化腫瘤影を認めた。便塊が腎動脈を圧排したことによる腎血管性高血圧の可能性を考え、注腸検査で便塊の融解を試みたところ便塊と思われた腫瘤影は腸管外に存在していた。腹部MRIで後腹膜腫瘍が疑われ高次医療機関に転院となった。腫瘍摘出術を行い神経節芽腫の診断であった。腫瘍摘出による血圧正常化に伴い心筋肥大は改善傾向で、β遮断薬の内服を継続している。
【考察】
肥大型心筋症は60-69歳にピークがあり、小児の肥大型心筋症は稀である。本症例では肥大型心筋症を疑いβ遮断薬を使用したが、β2受容体遮断作用で血管拡張が阻害されカテコラミン産生腫瘍による高血圧を引き起こしたと考えられる。2次性心筋症を合併する疾患としてPompe病やFabry病などの遺伝性疾患を鑑別に挙げていたが、高血圧があったことからカテコラミン産生腫瘍が背景にある可能性を考えるべきであった。小児の肥大型心筋症の診療において治療可能な二次性の要素がないか鑑別することが肝要である。
【周産期歴】在胎40週3日、3300g
【成長・発達歴】発達の遅れの指摘は無し
【既往歴】熱性痙攣、慢性便秘症
【現病歴】
X日午前2時頃に嘔吐し意識レベルが低下したため救急要請された。頭部CTで右尾状核に出血を認めたため入院となった。
【入院後経過】
脳神経外科併診で保存加療を行った。来院時から高血圧だったのでカルシウム拮抗薬を開始した。入院第1病日の心臓超音波検査で左室心筋の著明な肥厚を認め、肥大型心筋症と診断しβ遮断薬を開始した。頭部MRIから急性散在性脳脊髄炎を疑い、ステロイドパルス、グロブリンの投与を行った。また、心臓MRIでは心筋の非対称な肥厚を認めた。β遮断薬開始後から血圧が上昇したためカルシウム拮抗薬を増量、ACE阻害薬やニトログリセリンも投与したが血圧管理に難渋した。入院第10病日に慢性便秘症に対して撮影した腹部X線写真で左上腹部に便塊と思われる石灰化腫瘤影を認めた。便塊が腎動脈を圧排したことによる腎血管性高血圧の可能性を考え、注腸検査で便塊の融解を試みたところ便塊と思われた腫瘤影は腸管外に存在していた。腹部MRIで後腹膜腫瘍が疑われ高次医療機関に転院となった。腫瘍摘出術を行い神経節芽腫の診断であった。腫瘍摘出による血圧正常化に伴い心筋肥大は改善傾向で、β遮断薬の内服を継続している。
【考察】
肥大型心筋症は60-69歳にピークがあり、小児の肥大型心筋症は稀である。本症例では肥大型心筋症を疑いβ遮断薬を使用したが、β2受容体遮断作用で血管拡張が阻害されカテコラミン産生腫瘍による高血圧を引き起こしたと考えられる。2次性心筋症を合併する疾患としてPompe病やFabry病などの遺伝性疾患を鑑別に挙げていたが、高血圧があったことからカテコラミン産生腫瘍が背景にある可能性を考えるべきであった。小児の肥大型心筋症の診療において治療可能な二次性の要素がないか鑑別することが肝要である。