[TRO03-2] 多職種連携アプローチにより退院が可能となった左心低形成症候群遠隔期慢性疼痛患者の一例
Keywords:多職種連携, 慢性疼痛, 緩和ケア
<背景>今回器質的疾患が否定的な慢性疼痛患者に対して多職種アプローチを行い、症状が軽減した症例を経験したため報告する。<症例>13歳女児。左心低形成症候群でフォンタン手術が終了後、幼児期から局在関連てんかんの為抗けいれん剤の内服を開始。循環器内科・神経内科で経過フォローを行っていた。学童低学年より頭痛、倦怠感を主訴に入院し、心不全に対する治療で軽減を繰り返していた。学童高学年になると、右季肋部痛と患者・家族から軽度の腫脹の訴えがあり、諸検査で評価するが器質的異常や、心不全の増悪は認めなかった。疼痛に対する多角的アプローチが必要と判断し中学1年より長期入院となった。<介入の実際>緩和ケアサポートチーム(以下PCTと称す)に疼痛コントロールを依頼。疼痛を全人的苦痛の視点からアセスメントし、多職種によるアプローチを行った。1)循環器内科医師は原疾患の評価を行い、問題がないことを患者、家族へ伝えた。2)PCT医師は疼痛評価をし、薬物療法を行った。3)児童思春期精神科医師は発達・社会適応・家族関係などの評価を行い、臨床心理士とともにアプローチを行った。4)看護はPCT看護師と病棟看護師で協働し、日常生活の評価を行った。さらに児童思春期精神科医師のアドバイスを受け、患者に対して負荷のかかる言動を見直し、日常の関わりの中で患者が心地よく生活できるよう、看護計画の立案・実践・評価を行った。母へは寄り添う姿勢を持ち、想いを傾聴した。疼痛評価はNumerical Rating Scale(NRS)を使用し、入院時は10/10以上であったが、5/10へ軽減し退院となった。現在は外来で、経過観察を継続している。<結論>重症心疾患患者の救命率は近年上昇傾向にある。そのため、これまで問題とならなかった様々な全人的苦痛の増加が予測される。これらに対し多職種による多角的なアプローチによる成長・発達に沿った支援が重要である。