[I-YB04-3] Outside radiation dose of the lens during the pediatric cardiac CT angiography
Keywords:心臓CT angiography, 被ばく, 水晶体
【背景】CT検査の被ばく低減技術は、検出器の進化、多列化、逐次近似画像再構成の高度化により著しく進歩している。しかし先天性心疾患診療において、疾患の特性上、経時的に複数回CT検査を必要とすることが多く、放射線感受性の高い時期に繰り返す被ばくは、低線量であっても生涯にわたる影響は決して無視できない。ALARA(as low as reasonably achievable)の原則に従い、撮影範囲内のCT検査の被ばく線量を可能な限り低減することは当然であるが、撮影範囲外の最適化に関する報告は少ない。心臓CTの検査対象外臓器である水晶体は被ばく感受性が高い臓器の一つであり、白内障のリスクが懸念されている。【目的】小児心臓CT angiographyにおける水晶体の被ばく線量について把握し、被ばく線量の低減を図る。【方法】64列MDCT(GE healthcare)と小児擬人化ファントム(CIRS ATOM 新生児及び5歳)を使用し、当院での心臓CTプロトコルにて撮影を行った。線量計はReal-time skin dosimeter RD-1000を使用し、ファントムの中心と水晶体部の被ばく線量を計測した。撮影外部の水晶体に関しては、水晶体防護具なしと水晶体防護具ありの被ばく線量を比較した。【結果】ファントムの中心での被ばく線量は新生児16.98 μGy、5歳児20.16μGyであった。水晶体部の被ばく線量は左右それぞれ新生児1.05/1.21μGy、5歳児0.30/0.32μGy 、それに対し水晶体防護時は新生児0.93/1.10μGy、5歳児0.24/0.26μGyであった(p<0.05)。【結論】撮影範囲内のファントム中心部の被ばく線量と比較して、撮影範囲外である水晶体は、新生児で6~7%、5歳児で1~2%の被ばく線量であった。体格が小さい新生児ほど撮影範囲外の被ばく線量は大きく、また水晶体防護具を装着することで10~20%の被ばく低減が可能であった。心臓撮影時の水晶体被ばくは決して無視できないため、防護具装着の導入を検討していく。