[OR36-3] 自己肺動脈壁パッチを用いた大動脈再建術
Keywords:自己肺動脈, 大動脈再建, 外科治療
【はじめに】大動脈縮窄症・離断症において自己肺動脈パッチを用いて大動脈再建を行った5例を報告する。【症例1】IAA(B)/VSD女児。12生日にBPAB施行。duct stent後に小腸穿孔を来し小腸切除・人工肛門増設術を行い、1歳時に修復術を施行。VSD閉鎖及び肺動脈絞扼解除、ステント切除。自己肺動脈壁を用いてAutograft tubeを作成し上行‐下行大動脈間を再建。術後上下肢圧較差認めず1ヶ月で退院。【症例2】IAA(B), 右側下行大動脈, left arch 女児。14生日に修復術を施行。右胸腔を走行する下行大動脈の直接吻合は困難のため、STJで離断した上行大動脈を下行大動脈と端々吻合(swing-back)。arch下面でフラップを作成しtrap-door法で上行大動脈近位断端に吻合し後壁を作成。上行大動脈前壁は自己肺動脈パッチを用いて補填。術後圧較差は認めず2か月で退院。【症例3】IAA(A)/VSDの女児。11生日に修復術を施行。左鎖骨下動脈フラップで大弯側1/3周を直接吻合し、自己肺動脈パッチで小弯側2/3周を形成。VSDはパッチ閉鎖。術後2か月で退院。術後1年のカテーテル検査でも圧較差認めず。【症例4】DORV(TBA)/CoAの男児。13生日にBPAB、2ヶ月時に修復術を施行。2倍以上の口径差を有する肺動脈壁を楔状に切除して縫縮し、切除した自己肺動脈パッチを用いて上行大動脈を拡大し口径差を合わせた後に動脈スイッチ術を施行。大動脈弓は直接吻合しVSDをパッチ閉鎖。術後圧較差なく1ヶ月で退院。【症例5】CoA/VSD、左気管支閉塞の男児。2ヶ月時に呼吸不全のため搬送され修復術施行。拡大した肺動脈により左気管支が閉塞していたため、主肺動脈前壁を切除して縫縮し、切除した自己肺動脈パッチを用いて大動脈弓小弯側を形成、VSD閉鎖。術後圧較差なく左気管支の開存を確認し1ヶ月で退院。【まとめ】自己肺動脈パッチを用いた大動脈再建は直接吻合が困難な症例又は大動脈パッチ拡大を要する例には有用な選択肢である。