[OR36-4] Ebstein病に対するStarnes手術の治療成績
Keywords:Ebstein病, Starnes手術, Fontan手術
【目的】Starnes手術の治療成績と有用性について検討した。【方法と対象】2001年から2020年にStarnes手術を行ったEbstein病連続24症例を対象とした。手術時日齢中央値15日(0-3061日)、体重中央値2.9kg(2.1-20.2kg)であった。【結果】出生時心胸郭比(CTR)83±14%。三尖弁逆流(TR)は9例で3度、11例で4度。TR圧較差は13例(54%)で30mmHg未満であった。肺動脈順行性血流を欠くものは13例(54%)あり、circular shuntは10例(42%)で認めた。うち7例は出生直後に主肺動脈結紮術が行われた。Starnes手術+体肺動脈シャント(SPS)18例のうち16例は新生児期に行われた。6例は待機的に両方向性グレン手術(BDG)+Starnes手術が行われた。Starnes手術として順行性血流を残しパッチで三尖弁を閉鎖したものが5例、開窓パッチ閉鎖および直接縫合による半閉鎖が19例であった。Starnes手術時の右房縫縮は20例(83%)、右室縫縮は6例(25%)、上室および心室性不整脈に対する術中ablationは3例(13%)に併施された。手術死亡は0例、遠隔死亡は2例で1例はStarnes手術後8ヶ月目にRSウイルス感染で死亡、1例はStarnes術後30ヶ月に心不全、敗血症で死亡した。観察期間中のペースメーカー埋込は3例に認めた。Starnes手術+SPS症例のCTRは術後半年で88.6%から66.7%へと有意に減少し(p<0.001)、BDG+Starnes手術症例も同様に68.6%から58.5%へと有意に減少した(p=0.03)。3例で経過中にfenestration閉塞による右室拡大が発生し、各症例2回ずつ再手術を要した。14例がTCPCに到達し、術後カテーテル検査では平均CVP 9.6mmHg、左室拡張末期圧 4.6mmHg、左室拡張末期容積正常比 100.4%、左室駆出率63%、CI 3.4L/min・m2であった。5年および10年での全生存率は88.6%であった。【結語】Starnes手術は新生児期重症Ebstein病の生存率を改善させる有用な術式である。Fontan術後の血行動態も非常に良好であり、長期成績も満足のいくものであった。