第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

画像診断

デジタルオーラルII(P12)
画像診断 2

指定討論者:武内 崇(海南医療センター)
指定討論者:大野 直幹(川崎医科大学 小児科学)

[P12-2] 右冠動脈起始異常を見逃さないための,左冠動脈起始所見

田代 良1,2, 檜垣 高史1,2,3, 山本 英一2,4, 松田 修2,5, 高田 秀実2, 太田 雅明2,6, 千阪 俊行2,6, 森谷 友造2, 渡部 竜助2, 宮田 豐壽1,2, 赤澤 祐介3,7 (1.愛媛大学 地域小児・周産期学講座, 2.愛媛大学 小児科, 3.愛媛大学 移行期・成人先天性心疾患センター, 4.愛媛県立中央病院 小児科, 5.愛媛県立今治病院 小児科, 6.愛媛大学 地域小児保健医療学講座, 7.愛媛大学 循環器・呼吸器・腎高血圧内科学)

キーワード:右冠動脈起始異常, 心臓超音波検査, 学校心臓検診

【背景】冠動脈起始異常の診断は重要であるが,右冠動脈(RCA)の起始は同定しにくい場合がある.愛媛県南宇和郡愛南町の小・中学校1年生全員を対象に,心臓超音波検査を施行しRCA起始異常を1.4%に認め,その有用性についてすでに報告した(JSPCCS 2019).RCA起始異常の症例においては左冠動脈(LCA)が右寄りから起始している場合があり,特徴的な所見かどうかを検証した.【目的】LCA起始が右寄りであることとRCA起始異常に関連があるか検討する.【対象と方法】対象は愛南町の小中学校1年生全員.2017年から2020年に愛南町で心臓超音波検査を受けた小中学校1年生770名.先天性心疾患のスクリーニングを行うとともに,RCAとLCAが,大動脈短軸像の何時方向から起始するかを記録した.RCAが12時半より左から起始する例をRCA起始異常とし,LCA起始の分布に差があるかどうかを調べた.【結果】LCAが2時から起始している例は3例あり,うち1例(33.3%)がRCA起始異常であった.以下同様に,RCA起始異常は2時半の5例中1例(20.0%),3時の118例中4例(3.4%),3時半の181例中3例(1.7%),4時の404例中2例(0.5%)であった.LCA起始の平均値は,RCA起始正常例3.77時,RCA起始異常例3.18時,平均値差は0.586(0.311-0.861,95%CI)と,RCA起始異常例ではLCA起始は有意に右寄りであった.なお,LCA-RCA間距離(時)は,RCA起始正常例で4.97,異常例で1.86と,異常例で有意に(P<0.001)狭まっていることがわかった.【考察】RCA起始異常は770例中11例,1.4%に認めた.LCAが右寄りから起始している症例においては,RCAも左寄りから起始している傾向がある.LCAが3時あるいはそれよりも右から起始している症例においては,RCA起始異常を念頭に置いて,注意深くRCA起始を観察する必要があると考えられる.【結論】LCA起始が右寄りであると,RCA起始異常の確率が高い.