[P12-4] 心室内同期不全による心機能低下を認めたB型WPWの1例-詳細な心機能解析から読み解く心機能低下と回復の機序-
Keywords:WPW症候群, 層別ストレイン, myocardial work
【背景】2020年に我々は、B型WPW症候群(WB)では心基部内膜層より円周方向ストレイン低下を認めることを報告した。しかし、心機能低下の詳細な機序および治療後の回復過程については未だ不明な点が多い。今回後負荷の要素を含む新しい心エコー指標である心筋仕事係数解析で興味深い結果を得たので報告する。【症例】21歳、男性。学校検診を契機にWPW症候群と診断された。無症候性であり、年1回の通院で経過観察されていたが、心エコーで心機能低下を指摘され当院紹介、7か月後にカテーテルアブレーションを施行し後中隔副伝導路を焼灼した。心機能解析は 術前、術直後及び術後1か月にVivid E9とEchoPAC (GE Healthcare, Ver.108.1.4)を用いて行った。一般心機能計測に加え、心基部(B)・乳頭筋部(P)・心尖部(A)のCircumferential strain(CS)およびLongitudinal strain(LS)、圧-ストレイン曲線から得られるMyocardial work index(MWI)、Myocardial work efficiency(MWE)、constructive work(CW)、wasted work(WW)を計測した。【結果】3点の計測点で、それぞれLVEF[50%, 58%, 58%]、B-CS(%)[-6.3, -11.6, -12.3]、P-CS(%)[-10.9, -11.4, -12.9]、A-CS(%)[-8.4, -13.9, -15.5]、LS(%)[-13.8, -15.8, -14.3]、MWI(mmHg%)[1078, 1161, 1591]、WE(%)[86, 90, 90]、CW(mmHg%)[1292, 1570, 1829]、WW(mmHg%)[229, 157, 177]であった。【考察】術直後より円周方向ストレインは回復したが、これは同期不全の改善を反映したに過ぎず、後負荷を加味した心筋仕事係数の回復には1か月を要し、より心筋収縮能を反映している可能性がある。【結語】WBにおける心機能評価には、ストレインよりも心筋仕事係数の計測が有用である。