[P49-4] 解剖学的二心室を有する患児に実施する両側肺動脈絞扼術と体循環血流路の変化
キーワード:両側肺動脈絞扼術, 二心室, 左室流出路
背景・目的
両側肺動脈絞扼術(bPAB)は、解剖学的二心室を有する動脈管依存体循環型心疾患の一部でも実施することがある。そして、心内修復待機中に狭小な左心系構造が成長し、利用可能となることをしばしば経験する。当院で解剖学的二心室疾患に施行したbPABについて、その効果を確認する。
方法・対象
診療録を基に、後方視的検討。期間2007年3月~2020年6月。当院でbPABを実施した解剖学的二心室症例について、僧帽(M)弁輪径、LVDd、大動脈(A)弁輪径のエコー計測値を比較した。
結果
対象22例。CoA complex 9例(VSD 7, DORV 2)、IAA complex9例 (A型2 , B型7)、総動脈管2例, TGA 1例。multiple VSDを合併したものが3例あり、全例単心室型治療に進んだ。2心室型治療群19例の体循環流出路は、自己大動脈弁11例(A群)、総動脈管弁2例(除外)、Norwood型手術6例(N群)であった。
A群対N群、エコー計測値はz scoreで比較。
bPAB時日齢9 (IQR 7-10)対9(IQR 6-10), 体重2.21±0.55kg対2.63±0.49kg , bPAB後待機日数51(IQR 48-119)対77(46-110), bPAB時A弁輪径 -3.20±2.37対-5.35±2.39, LVDd -0.71±2.0対0.20±1.21, M弁輪径 -0.71±0.98対-0.44±0.71, すべて群間有意差なし。
bPAB時と心内修復(流出路再建)時の差
A弁輪径-3.20±2.26→-1.32±2.01 p<0.01対-5.35±2.18→-4.68±2.38 p=0.15
LVDd -0.71±1.92→ 0.31±1.14 p=0.13対0.18+/-1.11→-0.39±1.09 p=0.16
M弁輪径 -0.71±0.94→-0.22±0.96 p=0.01対-0.44±0.65→-0.541±0.67 p=0.95
A群心内修復後6-12か月(p値は対修復時)
A弁輪径0.18±1.74 p=0.04, LVDd 0.32±1.22 p=0.53, M弁輪径-0.23±0.74 p=0.16
概要・結語
A群でbPAB後のA弁輪径とM弁輪径の拡大傾向を認めた。A群とN群のbPAB時計測値に統計学的有意差は無い。A群は心内修復術後にすべての計測値が-2SDを上回った。bPAB実施後の成長傾向と心内修復時A弁輪径zスコア-5はNorwood型回避の判断材料となりそうである。
両側肺動脈絞扼術(bPAB)は、解剖学的二心室を有する動脈管依存体循環型心疾患の一部でも実施することがある。そして、心内修復待機中に狭小な左心系構造が成長し、利用可能となることをしばしば経験する。当院で解剖学的二心室疾患に施行したbPABについて、その効果を確認する。
方法・対象
診療録を基に、後方視的検討。期間2007年3月~2020年6月。当院でbPABを実施した解剖学的二心室症例について、僧帽(M)弁輪径、LVDd、大動脈(A)弁輪径のエコー計測値を比較した。
結果
対象22例。CoA complex 9例(VSD 7, DORV 2)、IAA complex9例 (A型2 , B型7)、総動脈管2例, TGA 1例。multiple VSDを合併したものが3例あり、全例単心室型治療に進んだ。2心室型治療群19例の体循環流出路は、自己大動脈弁11例(A群)、総動脈管弁2例(除外)、Norwood型手術6例(N群)であった。
A群対N群、エコー計測値はz scoreで比較。
bPAB時日齢9 (IQR 7-10)対9(IQR 6-10), 体重2.21±0.55kg対2.63±0.49kg , bPAB後待機日数51(IQR 48-119)対77(46-110), bPAB時A弁輪径 -3.20±2.37対-5.35±2.39, LVDd -0.71±2.0対0.20±1.21, M弁輪径 -0.71±0.98対-0.44±0.71, すべて群間有意差なし。
bPAB時と心内修復(流出路再建)時の差
A弁輪径-3.20±2.26→-1.32±2.01 p<0.01対-5.35±2.18→-4.68±2.38 p=0.15
LVDd -0.71±1.92→ 0.31±1.14 p=0.13対0.18+/-1.11→-0.39±1.09 p=0.16
M弁輪径 -0.71±0.94→-0.22±0.96 p=0.01対-0.44±0.65→-0.541±0.67 p=0.95
A群心内修復後6-12か月(p値は対修復時)
A弁輪径0.18±1.74 p=0.04, LVDd 0.32±1.22 p=0.53, M弁輪径-0.23±0.74 p=0.16
概要・結語
A群でbPAB後のA弁輪径とM弁輪径の拡大傾向を認めた。A群とN群のbPAB時計測値に統計学的有意差は無い。A群は心内修復術後にすべての計測値が-2SDを上回った。bPAB実施後の成長傾向と心内修復時A弁輪径zスコア-5はNorwood型回避の判断材料となりそうである。