The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

染色体異常・遺伝子異常

ポスター発表(I-P2-4)
染色体異常・遺伝子異常 I

Thu. Jul 21, 2022 3:10 PM - 4:10 PM ポスター会場

座長:内田 敬子(慶應義塾大学 保健管理センター)
座長:土橋 隆俊(川崎市立川崎病院)

[I-P2-4-03] 当院における18トリソミーに対する姑息術介入と予後の変化

小山 智史, 篠原 務, 鈴木 一孝 (名古屋市立大学 小児科)

Keywords:18trisomy, 姑息手術, 在宅医療

【背景】18トリソミー児の治療についての報告が増加し,方針について検討される機会が増えている.当院は以前より,家族の希望があれば,心疾患に対して姑息術を行ってきたが,近年は在宅移行率の上昇を実感している.【目的】18トリソミー児について,当院での介入,およびその予後の変化を調査すること.【方法】2004年4月から2021年12月までに当院NICUに入院した18トリソミーの児53例を対象とした.2016年4月以降の21例(A群)とそれ以前の32例(B群)に分けて,臨床経過を診療録から後方視的に検討した.【結果】心疾患の概要は心室中隔欠損症36例,房室中隔欠損症6例,両大血管右室起始症4例,大動脈縮窄複合3例,大動脈離断症3例で,1例のみ心奇形を認めなかった.姑息術への希望はA:19例(91%) B:22例(69%)で,実際には27例(A:13例 B:14例)に対して介入を行い,姑息術待機中の死亡例はA:2例(11%) B:5例(22%)であった.術式は肺動脈絞扼術24例,動脈管結紮術15例,大動脈縮窄症手術1例,動脈管ステント留置1例(重複あり)で, 出生体重A:1630g(956-2420g) B:1640g(792-2958g)に対して,手術日齢A:40日(8-127日) B:49日(6-126日),手術時体重A:2201g(926-3482g) B:2201g(966-2750g)でいずれも有意差はなかった(p>0.05).在宅移行率は姑息術施行例でA:13例(100%) B:12例(86%)に対して非施行例の移行率はA:4例(50%) B:6例(33%)であった.気管切開例はA:7例 B:2例,非侵襲的陽圧換気はAのみ4例であった.【考察】姑息術による介入は短期予後を向上させる.一方で近年の在宅移行率向上の要因は,新生児集中治療や呼吸管理をはじめとする在宅医療の進歩,家族を含めた在宅への考えの変化などが挙げられる.選択肢が増えていく中で家族にとって悔いのない決断をするため,小児循環器医からも胎児診断や予後の情報などのサポートが重要と考えられる.