[I-P2-4-04] 集学的アプローチによるtreat and repair を施行できた重症肺高血圧合併心室中隔欠損を伴ったDown 症候群の1乳幼児例
Keywords:Down症候群, 肺高血圧, treat and repair
【緒言】Down症候群はしばしば肺低形成や上気道・下気道閉塞などの複合的要因による肺高血圧(PH)増悪因子を認めるため心疾患の治療時期に苦慮することがある。【症例】胎児エコーで胎児水腫(胸腹水、全身浮腫)の指摘があり、在胎35週4日に2,316gで帝王切開にて出生。21 trisomy、VSD、ASD、PDA、PHの診断。胸腹水貯留のため日齢26まで胸腔ドレーン留置、遷延性PHのため日齢35まで気管挿管管理施行。生後2か月時にPDA結紮術施行。室内気で低酸素血症(SpO2<90%)があるため生後5か月時に在宅酸素療法で退院。うっ血肺の進行なく生後6か月時に手術適応評価のため全身麻酔下に心臓カテーテル検査を施行した。肺体血流比(Qp/Qs): 0.93、平均肺動脈圧(mPAP): 42 mmHg(Pp/Ps:0.98)、肺血管抵抗(Rp):10.4 U/m2。検査中PH crisisを合併、根治手術は困難と考えタダラフィル(1mg/kg/日)の内服を開始した。心エコー上PHの進行はなかったが1歳頃から気道感染を契機にSpO2低下が顕著となり入退院を繰り返した。上気道、下気道の精査の結果、アデノイドによる上気道閉塞、睡眠時無呼吸が原因と考えられた。在宅人工換気(CPAP)を導入し呼吸管理を継続、SpO2の低下は減少した。1歳6か月時にアデノイド切除術施行。1歳8か月時に全身麻酔下に心臓カテーテル検査施行。Qp/Qs:1.7、mPAP: 37mmHg(Pp/Ps: 0.91)、Rp: 4.84U/m2(Rp/Rs: 0.35)と改善傾向にあった。100%酸素負荷でQp/Qs: 3.2、Rp: 2.85U/m2(Rp/Rs: 0.18) と可逆性のPHと判断し1歳9か月時にVSD閉鎖術を施行した。PH所見は改善傾向にありタダラフィルを継続、術後1年時にカテーテル検査予定である。【考案】Down症候群患児は新生児期から乳幼児期にかけて心疾患以外にも複合的な肺高血圧増悪因子が存在することが多く、他科を含めた集学的段階的な治療を行うことが重要であると思われた。