[I-P2-4-05] 大動脈縮窄症および心室中隔欠損症の管理中に致死性多発出血から診断に至ったJacobsen症候群の一例
Keywords:先天性心疾患, Jacobsen症候群, 多発出血
【緒言】
Jacobsen症候群(JS)は11番染色体長腕の部分欠失により生じる症候群である。JS患者の95%に血小板機能異常、56%に外科的介入を要する先天性心疾患(CHD)を合併し、これらは予後に大きく影響する。当施設において、大動脈縮窄症(CoA)術後、心室中隔欠損症(VSD)の管理中に多発出血からJSの診断に至った一例を経験したので報告する。
【症例】
在胎36週3日、出生体重2176g、Apgar score 9/9点で出生した男児。出生後にCoA、VSDと診断し、CoAに対して大動脈弓再建術を施行した。その後の経過中、血小板数低下を認めないにも関わらず致死性多発出血(気管・肺出血、血性心嚢水、左脳室内出血、上部消化管出血)を認めた。精査の結果、染色体検査G分染法で11q23欠失を認め、JSと診断した。血小板無機能の本患者において、抗血小板抗体産生を予防するために血小板輸血の制限を行いつつ、出血リスクのある外科処置前に最低限の予防的血小板輸血を行う方針とした。その後の心室中隔欠損閉鎖術を含め、生後7か月まで重篤な出血イベントなく経過した。
【考察】
JSにおける出血イベントはCHDと並んでJSの主要な死因であり、早期診断による出血リスクの認知および外科処置前の最低限の予防的輸血が重要である。本症例のように、CHDの新生児期管理の中で出血イベントを認めた際は、JSを鑑別に挙げることで早期診断の好機となり、JSの予後を改善できる可能性がある。
【結語】
CHD管理中の説明不可能な出血イベントに対しては、JSを含めた血液疾患の鑑別を積極的に早期に行うべきである。
Jacobsen症候群(JS)は11番染色体長腕の部分欠失により生じる症候群である。JS患者の95%に血小板機能異常、56%に外科的介入を要する先天性心疾患(CHD)を合併し、これらは予後に大きく影響する。当施設において、大動脈縮窄症(CoA)術後、心室中隔欠損症(VSD)の管理中に多発出血からJSの診断に至った一例を経験したので報告する。
【症例】
在胎36週3日、出生体重2176g、Apgar score 9/9点で出生した男児。出生後にCoA、VSDと診断し、CoAに対して大動脈弓再建術を施行した。その後の経過中、血小板数低下を認めないにも関わらず致死性多発出血(気管・肺出血、血性心嚢水、左脳室内出血、上部消化管出血)を認めた。精査の結果、染色体検査G分染法で11q23欠失を認め、JSと診断した。血小板無機能の本患者において、抗血小板抗体産生を予防するために血小板輸血の制限を行いつつ、出血リスクのある外科処置前に最低限の予防的血小板輸血を行う方針とした。その後の心室中隔欠損閉鎖術を含め、生後7か月まで重篤な出血イベントなく経過した。
【考察】
JSにおける出血イベントはCHDと並んでJSの主要な死因であり、早期診断による出血リスクの認知および外科処置前の最低限の予防的輸血が重要である。本症例のように、CHDの新生児期管理の中で出血イベントを認めた際は、JSを鑑別に挙げることで早期診断の好機となり、JSの予後を改善できる可能性がある。
【結語】
CHD管理中の説明不可能な出血イベントに対しては、JSを含めた血液疾患の鑑別を積極的に早期に行うべきである。