The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

ポスター発表

染色体異常・遺伝子異常

ポスター発表(I-P2-4)
染色体異常・遺伝子異常 I

Thu. Jul 21, 2022 3:10 PM - 4:10 PM ポスター会場

座長:内田 敬子(慶應義塾大学 保健管理センター)
座長:土橋 隆俊(川崎市立川崎病院)

[I-P2-4-06] 小学校心臓検診で著明なバルサルバ洞拡大を発見されたLoeys-Dietz症候群の一例

関 俊二 (国立病院機構指宿医療センター 小児科)

Keywords:Loeys-Dietz症候群, Marfan症候群, 遺伝子検査

【背景】Loeys-Dietz症候群(以下LDS)は大動脈蛇行と全身の大動脈瘤、眼間開離、二分口蓋垂を3主徴とし、Marfan症候群(以下MFS)に類似した身体所見を呈する疾患として2005年に報告された。病因の一つとして報告されているTGFBR2変異は、より小さい血管径でも大動脈解離を生じるため注意が必要である。学校心臓検診の2次検診を契機に大動脈基部拡大からLDSの診断に至った症例を経験した。【症例】発達の遅れと多発小奇形(漏斗胸含む)から前医でリハビリテーションを受けていた。10か月時の心電図、心エコー検査では異常の指摘はなかった。小学校の学校心臓検診でV5,6誘導のR<Sを指摘され、漏斗胸の影響も考えられたが、念の為2次検診を受けるよう指導された。2次検診の心エコー検査で、大動脈基部拡大(28 mm, Z socre=4.4)があり、細い四肢などからMFSを疑い、遺伝子検査を行った結果、TGFBR2変異を認めLDSと診断された。学校生活管理基準をC禁管理とし、アテノロール、ロサルタンの内服を開始したが、心エコーで月1mm程度の拡大があり、外科的介入も含む治療も検討しながら注意深い経過観察を続けている。【考察】LDSの臨床像は幅広く、MFSと酷似している症例も含まれるが、MFSに比べ血管病変が高頻度で早期に進行しやすいのが特徴である。水晶体偏位が無いなど、典型的なMFSの症状とは異なるため見逃されている症例や、遺伝子検査のされていないMFSの中にLDSが含まれている可能性がある。これらの症例を認識し、適切なタイミングで外科的介入を行うことが重要である。【結論】漏斗胸が疑われる心電図であっても、その他の臨床所見がある場合は心エコー評価も重要であり、MFSを疑った場合にはLDSも考慮して精査を進めることが望ましい。