[I-P2-5-02] 羊水中NT-proBNPの新生児心不全バイオマーカーとしての有用性
Keywords:心不全, 新生児, 羊水
【背景と目的】近年、胎児心エコーの技術的な進歩と汎用性から、胎児期の心機能についてより正確に評価できるようになってきている。しかし、胎児心不全バイオマーカーについての検討は少ない。NT-proBNPは成人領域では確立された心不全マーカーの1つであるが、腎機能の影響を強く受け、新生児から乳児では正常値は大きく異なる。これまでに我々は、新生児から乳児の血清中NT-proBNP (sNT-proBNP)の基準値と、尿中NT-proBNP値 (uNT-proBNP)とsNT-proBNPとの有意な正の相関について発表してきた。一般的にsNT-proBNPの95%が尿中に排泄され、妊娠中期以降、羊水は胎児尿に置き換えられると言われている。本研究は、羊水中のNT-proBNP (aNT-proBNP)がsNT-proBNPと相関し新生児心不全の有用なバイオマーカーとなるかを検討することを目的とした。【方法】対象は染色体異常のない10例の新生児(先天性心疾患1例を含む)で出生時に末梢血、臍帯静脈血、および羊水を採取し、1) aNT-proBNP/creとuvNT-proBNP/cre、2) uvNT-proBNP/creとsNT-proBNP/cre、3) aNT-proBNP/creとsNT-proBNP/cre、それぞれの相関関係について検討した。(NT-proBNPはcreatinine値で除して補正した数値を用いた。)【結果】症例の在胎週数は36±2.0週で、出生体重は2321.9±577.3gだった。上記1)~3)はすべて有意な強い正の相関を示した(順に1)r=0.70、p<0.05、2)r=0.97、p<0.05、3)r=0.70、p<0.05)。【結語】 aNT-proBNP/creはsNT-proBNP/creと強い正の相関関係を持ち、新生児の心不全の重症度を評価するため有用なバイオマーカーとなり得ることが示唆された。