The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

心不全・心移植

ポスター発表(I-P2-5)
心不全・心移植 I

Thu. Jul 21, 2022 3:10 PM - 4:10 PM ポスター会場

座長:新川 武史(東京女子医科大学 心臓血管外科)
座長:山村 健一郎(福岡市立こども病院 循環器集中治療科)

[I-P2-5-04] 末期先天性心疾患児におけるEnd-of-Life Careの検討

原 卓也, 石川 友一, 鈴木 彩代, 倉岡 彩子, 兒玉 祥彦, 佐川 浩一 (福岡市立こども病院 循環器科)

Keywords:End-of-Life, DNAR, 差し控え

【背景】先天性心疾患には救命困難な重症例が少なからず存在し、End-of-Life Careを見据えた治療が必要となる。しかし心不全においては治療自体が症状緩和に寄与しうることや、病状や経過に幅があり予測に反して末期心不全状態から回復する症例も存在し、侵襲的治療の差し控えや緩和治療導入の判断に難渋することが多い。【方法】2019年1月~2021年12月における当院の死亡症例について後方視的に検討を行った。13/18trisomyの患児や予期せぬ急性死亡の症例は除外した。評価項目は死亡時年齢、診断、死亡原因、死亡直前まで行われていた各治療(人工呼吸管理、強心薬、オピオイドの使用)、差し控え/DANRの有無とした。【結果】症例は30例。死亡時月齢9か月(IQR:3-15)、男女12:18。主診断はHLHS 14例, SRV 5例、AVSD 2例, TAPVC/PVO 2例, その他7例。21例が入院時積極的治療の方針で、出生時より手術適応がなかった3例と死が不可避と思われた4例では支持療法を継続された。死亡前治療については、3例でECMO、18例で人工呼吸管理、20例で経静脈循環作動薬、14例でオピオイドが使用されていた。死亡原因はポンプ失調 11例, 肺障害 5例, 乳糜 4例, 感染 2例, 不整脈 2例, PVO 2例,その他4例 であった。事前に差し控え/DNARを得た症例は25例でDNARは死亡7日前(IQR:1-18)に取得された。DNARがなかった5例中4例は不整脈での死亡であった。【考察】積極的治療の方針であった症例の多くは病状が徐々に悪化し死亡直前まで集中管理を要する中で差し控えを考慮され、一方、死が不可避と思われた症例では侵襲的治療を避け、在宅医療や支持療法による症状緩和を行いながら看取りを考慮された。差し控えの有無は患者家族の希望や受容度に影響された。【結語】患児・家族のQOL向上のためには厳密な予後予測や最初から予後を見据えた患者家族とのコミュニケーション、タイミングを逸しない緩和治療導入・治療差し控えの判断が重要である。