[I-PD03-02] 長野県における移行期医療の現状と課題
Keywords:自立支援, 医療連携, 人材育成
【背景】小児専門病院として、2011年から移行期支援を開始して12年になる。成人診療科への移行には、成人先天性心疾患専門外来を除いて、受入れ先となる専門外来が地域に存在しない。そのため、地域・成人医療機関との連携は整備途上である。国が推奨する「移行期医療支援センター」設置に向け、2017年から県保健・疾病対策課や信州大学と検討を重ねてきた。その結果、2020年に信州大学の難病支援センターに7都府県目として併設された。念願のセンター開設により、地域・成人医療機関との医療連携が前進することを期待している。【当院の取組みと課題】患者の自立支援を重要視し、多職種から組織編成された委員会が中心となり院内の体制整備、院外との連携構築をしながら、少しずつ成果をあげてきた。また、コーディネーター看護師の活躍と看護チーム活動によって、外来看護師だけではなく病棟看護師も支援に取組むようになり、入院中から介入する仕組みが整いつつある。1,成人になっても良質な医療が継続されるようにする。2,疾患を抱えながらも能力に応じて社会参加ができるようにする。3,保護者ではなく患者自身が管理できるようにする。ことを目標にサポートするシステムを病院全体で構築している。移行期医療支援は、慢性疾患を抱える患者にとって必然のケアである。小児専門病院に従事する看護師としてのベーシックスキルとして、2020年から「看護の枠組みと考え方」に組み入れ、看護部としても移行医療支援を普及する機運を高めている。定期的な部署異動や産育休による看護師の入れ代わりは余儀なくされるため、日常臨床の中で支援が実行できる看護師の育成は重要な課題である。また、2022年2月にセンターが主催したシンポジウムでも、地域基幹病院の小児科医や開業医から、医療連携の促進には、各地域に「コーディネーター」が必要だという意見が多く、人材の確保と育成が課題にあがった。