[I-PD04-02] 小児房室弁構造における術前心エコー所見と術中所見
Keywords:房室弁形成, 術前心エコー, 術中所見
【目的】小児房室弁形成術においてその複雑な解剖学的構造を術前に把握することは重要である. 近年の様々な画像診断の進歩にもかかわらずその中心となるのは心エコーである. 房室弁構造においては術前心エコー所見と術中所見が異なることもままある. 今回, 術前心エコー所見と術中ビデオによる弁形態の所見を比較し, 心エコー診断に還元するとともに, 克服すべき異常房室弁構造を明らかにする. 【対象】2019から2021年までの15歳以下の房室弁閉鎖不全に対して房室弁形成術を行った45例. 手術時年齢中央値1歳(最大13歳), 体重7.2kg(最大47.2kg). 形成房室弁は僧帽弁23例, 三尖弁19例, 共通房室弁11例. 【結果】弁形成法は弁輪縫縮32例(71%), 交連部形成17例(38%), Indentation閉鎖10例(22%), Edge-to-Edge法7例(16%), Cleft閉鎖5例(11%), 乳頭筋分割切開3例(7%), 弁尖延長2例(4%), 弁下組織切除2例(4%), 腱索短縮, 乳頭筋approximation, folding plasty, sliding plasty, Cone, 弁尖translocationがそれぞれ1例(2%). 僧帽弁, 三尖弁にそれぞれ1例人工弁置換術が行われた. 退院時心エコー検査による中等度以上の房室弁閉鎖不全は僧帽弁3例, 三尖弁1例, 共通房室弁1例. 術前心エコー上不明確で術中に手技を追加することが多いのはindentation閉鎖であった. 形成術を困難にする要因の一つは弁尖のplasteringを伴う低形成であった. 【結語】房室弁形成術は術前心エコー所見のイメージに沿って行うが, indentationの逆流への関与の程度やplasteringした弁尖の形成など、術中所見により軌道修正も必要である. 複数病変を細かくチェックする術前心エコーと、複数病変に対する様々な術式を組み合わせる戦略が重要である.