[I-PD04-03] 4DCT、3Dプリンターの房室弁手術への応用
Keywords:房室弁形成, 4DCT, 3Dプリンター
当院では経胸壁エコー(TTE)で房室弁の把握が困難な症例に対しては経食道エコー(TEE)や4D-CTを撮影、また3Dモデルを作成して手術のシミュレーションを行なっている。今回、4DCTによる弁形態の把握や3Dプリンターが有用だった症例を経験したので画像を交えて報告する。【症例1】2歳、11kg、男児。Ebstein奇形の診断で経過観察されていたが心不全の悪化傾向あり手術の方針となった。三尖弁の落ち込みが非常に強く右室流出路方向に向いており、三尖弁の接合部は肺動脈弁に近い位置にあった。通常の検査では術式決定が困難であり3Dプリンターによるモデルを作成し、Cone手術は不可能と判断。術中所見は三尖弁の付着位置は診断通りで、通常の右房切開では視野不良で右房化右室を切開することで良好な視野が得られた。三尖弁形成術を行い良好な結果を得た。【症例2】1ヶ月、2.6kg、女児。胎児診断あり、40週2日で出生。左側相同、左室低形成、完全房室中隔欠損症、重度房室弁逆流、大動脈弓低形成、下大静脈欠損と診断。さらにエコーで大動脈と左心房に交通が疑われ、房室弁に近接しており解剖が不明瞭だった。4DCTを撮影し3Dモデルを作成すると大動脈と左房の交通があり、房室弁の直上に存在していた。手術所見は3Dモデル通りであり、Norwood+左側房室弁のパッチ閉鎖+右側房室弁形成+大動脈左房交通の直接閉鎖を行った。【症例3】8歳、18kg、男児。三尖弁閉鎖(2c)でTCPC後フォローされていたがTTEでは心臓の描出が困難であった。経時的に左心機能不全が進みMRI施行したところsevere MRを認め手術の方針となったが、僧帽弁形態がTTE,TEEでは把握困難であった。4DCTを撮影すると前尖にcleftを認め、同部位の逆流であることが判明。これを閉鎖し制御良好であった。【結語】4DCT、3Dプリンターの診断能は非常に高く通常の検査で術式決定が困難な症例に非常に有用であった。