[I-YB01-02] 体位性頻脈症候群(POTS)の日常生活困難と期待される支援について
Keywords:体位性頻脈症候群, 自律神経障害, 起立不耐症・起立性調節障害
我々は体位性頻脈症候群(以下POTS)や自律神経障害に対する疾患啓発・患者支援・研究推進を柱とし,起立不耐症の克服をめざす活動を行っている.POTSは本邦小児科では起立性調節障害のサブタイプとして認識される事が多いが,海外ではPOTSという括りで,循環機能や自律神経機能を中心に,小児や比較的若い成人患者を対象として検討されている.国際的なPOTSの啓発団体であるDysautonomia Internationalは,メディカルアドバイザリーボードに小児循環器医4名が参画し,患者やご家族・コミュニティとの対話や診療・研究推進の面で,重要な役割を果たしている.
我々が2017年に実施した起立不耐症・起立性調節障害の実態調査より,POTSのみ(n=157)を抽出して検討すると,発症年齢のピークは13歳であるが、小学生や成人での発症も認められた.重症度・難治度については,軽症例や短期間例もあるが,外出が大きく制限され数年以上遷延する例もあり,疾患の多様性が反映されていた.治療については「効果のあった治療方法はない」という回答が4割を超えていた.
現状は一人一人の予後を的確に予測する事は容易ではなく,治療法の開発・最適化に加え,社会からの支援が期待されている.
POTSにより学校に行けない患者とその家族が抱える社会的ニーズは多段階的である.まず病気の症状によって学校に行けない事や,症状の日内変動などを,周りの人に正しく理解して欲しいというニーズがある.つづいて学習の維持・取り戻し,進学,将来に対する課題認識が高まる.この段階で短期間での回復が困難な場合は,学習や生活の配慮を得るためのサポートや,進学や将来に対するバックアッププランの助言が必要である.そして患者が成人するときに,一人一人がより良いQOLで社会参加をスタートできるための取り組みが求められている.
我々が2017年に実施した起立不耐症・起立性調節障害の実態調査より,POTSのみ(n=157)を抽出して検討すると,発症年齢のピークは13歳であるが、小学生や成人での発症も認められた.重症度・難治度については,軽症例や短期間例もあるが,外出が大きく制限され数年以上遷延する例もあり,疾患の多様性が反映されていた.治療については「効果のあった治療方法はない」という回答が4割を超えていた.
現状は一人一人の予後を的確に予測する事は容易ではなく,治療法の開発・最適化に加え,社会からの支援が期待されている.
POTSにより学校に行けない患者とその家族が抱える社会的ニーズは多段階的である.まず病気の症状によって学校に行けない事や,症状の日内変動などを,周りの人に正しく理解して欲しいというニーズがある.つづいて学習の維持・取り戻し,進学,将来に対する課題認識が高まる.この段階で短期間での回復が困難な場合は,学習や生活の配慮を得るためのサポートや,進学や将来に対するバックアッププランの助言が必要である.そして患者が成人するときに,一人一人がより良いQOLで社会参加をスタートできるための取り組みが求められている.