[I-YB04-03] 胸部レントゲンから肺体血流比を推測する深層学習モデル改良の試み
Keywords:心室中隔欠損症, 胸部レントゲン, 人工知能
【背景】近年、本学会では胸部レントゲンから肺体血流比(Qp/Qs)を推測させる深層学習モデルの有用性が報告されている。我々は、同様のモデルを新たなやり方で構築し、さらに12誘導心電図の情報を追加することで精度を向上させる試みを行ったので報告する。【目的】胸部レントゲン写真からQp/Qsを推測させる深層学習モデルを改良すること。【方法】当院にて心臓カテーテル検査を施行した心室中隔欠損症991例に関して、それぞれ術前の胸部レントゲン写真と12誘導心電図を収集した。これらのデータは学習データ248例とテストデータ743例に無作為に分別した。深層学習モデルとして、Variational Autoencoderを用いたレントゲン写真の特徴量の抽出後に、心電図情報(V1R, V5R, V6R波高)を加え、Multilayer perceptronを用いて肺体血流比を推測するモデルを構築した。なおFickの法則から導かれるQp/Qsが一定の誤差を含む数値であることを考慮し、学習のための損失関数計算の際には、教師データのQp/Qsに幅をもたせた。【結果】患者の年齢:1.72歳±3.43歳(平均±標準偏差)、Qp/Qs: 2.32±1.03であった。Qp/Qsの実測値と推測値の相関係数は、レントゲン単独で構築された深層学習モデルにおいて 0.62(p<0.01)であり、心電図情報結合後にも大きな変化はなかった。【考察】本法では、心電図情報の入力によるQp/Qsの推測精度の変化は得られなかった。入力方法が不適切である可能性と、入力情報にレントゲンを補完するほどの情報量が含まれない可能性の両方が考えられる。本学術集会までに、学習モデルをさらに改良し、またファロー四徴症術後における右室容積の推測や、フォンタン術後の肺体血流比の推測等についての応用を検証し、あわせて報告したい。