[II-P5-1-05] 重症心不全、腎不全を伴った成人先天性心疾患患者の緩和医療
Keywords:緩和医療, 成人先天性心疾患, 心不全
目的】成人先先天性心疾患患者のなかに)は様々な理由で根治術に到達していないものがある一定数存在する。こうした患者のなかでも心不全、腎不全を呈した患者の緩和医療に関して考える。【症例】37歳女性。【診断】PA, VSD, aberrant RSCA, No-confluent PA, post palliative Rasatelli, post reRVOTR, post PTA for bilateral branch PAs, IVC occlusion, residual VSD, RVOTS, RVp=LVp【既往歴】Left original BTshunt(1ヶ月時), right PA plasty+Ao-RPA shunt(Golaski; 5mm, 7歳時)palliative Rasatelli(Golaski tricuspid conduit; 22mm, 9歳時、ここまで当院で施行)。妊娠を機に他院に紹介。ReRVOTR+closure of residual VSD施行(25歳時@)東京女子医大)。33歳時、当院に逆紹介。【現病歴】34歳時、心不全治療目的にて入院加療となった。その後複数回の入退院を繰り返し、36歳時、飲水過多による胸水貯留、慢性右心不全の急性憎悪からLOS、慢性腎不全(無尿)となり気管内挿管、人工呼吸管理, CHDF導入となった。カテコラミン投与、一時的な血液透析導入後、尿の流出、腎不全の改善を認め一般病棟に転棟。人工呼吸器から離脱し気管切開孔は自然閉鎖。嚥下リハビリ後、経口カテコラミン剤、在宅酸素療法を導入。本人の自宅療養願望が強いため、訪問診療医との連携を図り通院加療の状態で経過観察中。現在、胸部レントゲン写真上心胸郭比70-75%、BUN: 70-80mg/dL, Cre: 2.0-2.5mg/dL, BNP: 300-500pg/ml, SpO2:90-94%(酸素2L/min)で推移。【考察】経過中、在宅酸素の導入は極めて有効であった。また患者自身に病態と予後を理解させることを多職種で心がけ、これが治療経過に良い影響を与えた。特に入院中の病棟看護師の役割は大きかった。【結論】成人患者では本人の意思尊重が重要で予後等を良く理解したうえでの患者、家族の希望に沿った緩和医療が優先され、その実現のためには多職種の連携が必要不可欠である。