[II-P5-3-04] 川崎病における1st line、および2nd line治療開始時期と冠動脈後遺症の関係について
Keywords:Kawasaki disease, coronary artery aneurysm , IVIG
【背景】川崎病において発症後1ヶ月以降続く冠動脈瘤(心臓血管後遺症)は狭窄性病変のリスクとなる.これまで心臓血管後遺症のリスク因子が多数報告されているが,治療開始時期に関する評価は一定の見解を得ていない.発症第5病日未満の1st line開始(早期初回治療)はIVIG不応リスク因子だが,これは追加治療が必要になるかの問題で,心臓血管後遺症をきたすかは分からない.2nd line開始の決定に難渋する症例もあり,1st lineおよび2nd line開始時期が心臓血管後遺症のリスク因子となるか検討した.
【方法】2017年4月~2021年3月までに入院した川崎病患者222人を対象とした.まず1st line開始日,および1st line開始日から2nd lien開始日までの期間が心臓血管後遺症と関連するか,変数に合わせた単変量解析,多変量解析を用いて検討した.また早期初回治療が行われる症例では冠動脈拡張が早期にみられる傾向がみられたため, 1st line開始日と冠動脈瘤発症時期(Z≧2.5をきたした初回病日)との関係について相関分析を行った.
【結果】早期初回治療と1ヶ月後の心臓血管後遺症との関連は示されなかった.2nd lineを行った群のうち,1st lineと2nd lineの間の期間が長いことが1ヶ月後の心臓血管後遺症と関連することが示された(p<0.05)。1st line開始日と冠動脈瘤発症時期は正の相関を示した(相関係数=0.461, p<0.01).
【結語】早期初回治療は必ずしも心臓血管後遺症のリスク因子にならないことが示された.一方, 1st line開始日から2nd line開始日までの期間が長い症例で心臓血管後遺症をきたしやすいことが示された.早期に冠動脈拡張がみられる症例では早期初回治療が必要となるため,その後2nd lineの必要性が高くなることに留意する必要がある.この際、2nd lineを遅れず開始することが,心血管後遺症を減らす上で重要であり,1st line終了後に身体所見,エコー所見を確認し,再燃徴候がみられた際は速やかに2nd lineへ進む必要がある.
【方法】2017年4月~2021年3月までに入院した川崎病患者222人を対象とした.まず1st line開始日,および1st line開始日から2nd lien開始日までの期間が心臓血管後遺症と関連するか,変数に合わせた単変量解析,多変量解析を用いて検討した.また早期初回治療が行われる症例では冠動脈拡張が早期にみられる傾向がみられたため, 1st line開始日と冠動脈瘤発症時期(Z≧2.5をきたした初回病日)との関係について相関分析を行った.
【結果】早期初回治療と1ヶ月後の心臓血管後遺症との関連は示されなかった.2nd lineを行った群のうち,1st lineと2nd lineの間の期間が長いことが1ヶ月後の心臓血管後遺症と関連することが示された(p<0.05)。1st line開始日と冠動脈瘤発症時期は正の相関を示した(相関係数=0.461, p<0.01).
【結語】早期初回治療は必ずしも心臓血管後遺症のリスク因子にならないことが示された.一方, 1st line開始日から2nd line開始日までの期間が長い症例で心臓血管後遺症をきたしやすいことが示された.早期に冠動脈拡張がみられる症例では早期初回治療が必要となるため,その後2nd lineの必要性が高くなることに留意する必要がある.この際、2nd lineを遅れず開始することが,心血管後遺症を減らす上で重要であり,1st line終了後に身体所見,エコー所見を確認し,再燃徴候がみられた際は速やかに2nd lineへ進む必要がある.