[II-P5-7-03] 心臓手術と漏斗胸手術(Nuss手術)を同時に施行した症例の検討
Keywords:先天性心疾患, 漏斗胸, 同時手術
【背景及び目的】漏斗胸による胸郭変形は心肺機能に悪影響を及ぼすと言われており,心臓手術前後に認める漏斗胸に対する外科治療報告は少ない.当院では,心臓手術と漏斗胸手術(Nuss手術)を可能な限り同時に行うことを基本方針として治療を行ってきた.今回,同時手術の安全性及び有効性について検討した.【方法】当院で2000年9月~2021年11月に心臓手術とNuss手術を同時に施行した5例(以下A群),同時期に施行したNuss手術68例(以下B群)を対象とした.A群に対する手術は全例心臓血管外科と形成外科の合同で行った.心臓手術の内訳は心房中隔欠損閉鎖術3例,Fontan型手術1例,右室流出路再建術1例.また,再手術2例,肺部分切除1例.CT index(最大胸郭内径/最小胸郭前後径.正常値3.2以下.),Nuss手術時間,入院期間について比較検討した. 統計学的検討は,unpaired t-testを用いた.【結果】A群の術後観察期間は8.8±7年,手術時平均年齢5.8歳,平均体重15.4kg,合併症及び手術・遠隔期死亡は0例.術前CT indexはA群5.7±1.1,B群4.9±1.1.術後1年のCT indexはA群2.5±0.3,B群2.7±0.3. A群の4例で術後4年,B群で術後2.7年にbarを抜去しており,抜去1年後のCT indexはA群2.5±0.1,B群2.7±0.3で正常範囲内に改善していた.A,B群間で術前後,bar抜去後のCT indexに統計学的有意差は認めなかった. Nuss手術時間はA群111±28分,B群138分±33分.入院期間はA群の初回手術3例が14±3.9日,B群が13±6日.いずれも統計学的有意差を認めなかった.A群において,術前偏位していた心臓は正常位置に戻っており,観察期間中,漏斗胸の再発やbarの変位は認めなかった.【考察及び結論】A群で手術死亡や遠隔期死亡,合併症はなく,Nuss手術時間や入院期間,CT indexの推移に関してもB群と有意差なく,良好な結果であった.同時手術はNuss手術単独と比較しても良好な方法と考えられた。また,今後,症例数を重ねて遠隔期成績を評価していきたい.