[II-P5-7-04] 心房中隔欠損症術後における心膜切開後症候群のリスク因子の検討
Keywords:心房中隔欠損症, 心膜切開後症候群, 外科治療成績
【目的】心膜切開後症候群(PPS)は開心術後に心嚢液貯留を引き起こす疾患であり、小児領域では特に心房中隔欠損症(ASD)術後に多い。今回ASD術後の心嚢液貯留におけるリスク因子について後方視的に検討した。【方法】2000年1月から2020年12月までにASD修復術を施行した患者263名(男児117名、女児146名)を対象とした。うちDown症候群は16例。一次孔欠損(不完全型房室中隔欠損:iAVSD)は14例、部分肺静脈還流異常症(PAPVR)合併は16例。PAPVR合併症例は全例で心房内reroutingを実施、その他はASDを直接閉鎖あるいは自己心膜を用いて閉鎖した。退院前および退院後外来のエコーで心嚢液貯留を認めた群をPPS群、それ以外をnon-PPS群とし2群間での因子の比較を行った。【結果】PPS群は22例(8.4%)、うち心嚢ドレナージを行った症例は3例。男児の割合はPPS群/non-PPS群で68/42% (p<0.05)、手術時年齢および体表面積(BSA)は各々4.4±3.3/5.4±4.5歳 (p=0.31)、0.66±0.28/0.75±0.33m2(p=0.21)、PAPVR合併例は27/4% (p<0.05)であった。胸骨正中切開の割合はPPS群/non-PPS群で95/59% (p<0.05)、手術時間および体外循環時間は両群間で有意差はなかったものの、大動脈遮断時間はPPS群/non-PPS群で49.8±36.6/31.9±21.4分(p<0.05)とPPS群で有意に長かった。PAPVR合併例およびiAVSDを除外した検討では、男児およびダウン症候群の割合はPPS群/non-PPS群で各々85/42%(p<0.05)、31/5%(p=0.08)、手術時年齢およびBSAは各々3.9±2.9/5.5±4.5歳 (p=0.21)、0.59±0.22/0.75±0.33m2(p=0.078)であった。いずれの検討においても、術前胸部レントゲンでの心胸郭比、心エコーでの左室拡張末期径(% of Normal)、左室駆出率、肺体血流比および術中計測におけるASD長径で両群間に有意差は認めなかった。【考察】男児およびPAPVR合併はASD術後のPPSのリスク因子になりうる。また単独ASD症例においても男児がPPSのリスク因子になりうる。