[II-P5-7-05] 体外循環中のDUF置換液の違いによる血糖と乳酸値の変化
Keywords:DUF置換液, 血糖値, 小児体外循環
【背景】小児体外循環は人工心肺装置による侵襲を低減するため体外循環中にdilutional ultrafiltration (DUF)を施行する。また、心筋保護液による影響も血液データへ大きく影響する。当院は心筋保護液にグルコースを含んだ組成であることから、体外循環中に血糖値の上昇が課題となった。【目的】グルコースを含むDUF置換液と含まないDUF置換液で血糖値と乳酸値の変化を比較検討する。【方法】2014~2021年に実施した小児体外循環症例(緊急および循環停止症例を除く)において、DUF置換液にグルコースを含んだ濾過型人工腎臓補液を使用した群(G+群:142例)と血糖を含まない重炭酸リンゲル液を使用した群(G-群:152例)について、血糖値、乳酸値について後方視的に調査する。数値はmean±SD、有意検定はStudent t-testを用い、p<0.05を有意差ありとした。【結果】体外循環中の血糖値は最大値G+群:G-群=245.2±70.7:227.2±67.8mg/dLと有意差(p=0.024)を認め、離脱時はG+群:G-群=181.6±60.9:174.4±55.9mg/dLであった。乳酸値は最大値G+群:G-群=19.9±8.5:17.0±8.4 mg/dL(p=0.003)、離脱時G+群:G-群=19.2±8.7:15.9±8.8 mg/dL(p=0.002)で有意差を認めた。【考察】DUF中にグルコースを含まない置換液により、最大血糖値の上昇と離脱時には180 mg/dL以下の許容範囲に調整が可能となった。それに連動し乳酸値も正常範囲に調整することが可能となった。グルコースを含まないDUF置換液を使用する際は特に遮断解除後から離脱までの時間が長い症例では頻回な血糖値の確認が必要となる。人工心肺中の血糖値の上昇とDUFの組成や置換液量のバランスを適正にコントロールする必要がある。【結論】DUF中の置換液として、グルコースを含まない組成を使用することで血糖値と乳酸値の上昇を調整することが可能であった。