The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

外科治療

ポスター発表(II-P5-7)
外科治療 IV

Fri. Jul 22, 2022 4:40 PM - 5:40 PM ポスター会場

座長:加藤 伸康(北海道大学大学院 医学研究院 循環器呼吸器外科)
座長:高橋 昌(新潟大学大学院 呼吸循環外科)

[II-P5-7-07] 胸骨正中切開による予防的腕頭動脈離断:脳循環、右上肢循環に対する影響

吉澤 康祐1, 若見 達人1, 下地 章夫1, 前田 登史1, 森 おと姫1, 福永 直人1, 岡田 達治1, 田村 暢成1, 坂崎 尚徳2, 渡邊 健太郎3 (1.兵庫県立尼崎総合医療センター 心臓血管外科, 2.兵庫県立尼崎総合医療センター 小児循環器科, 3.兵庫県立尼崎総合医療センター 小児外科)

Keywords:気管腕頭動脈瘻, 気管切開, 脳循環

【背景】気管切開後の腕頭動脈による気管軟化や気管腕頭動脈瘻は致命的な合併症である。その予防のための腕頭動脈離断について小児循環器医、小児心臓外科医が相談を受けることがあるが、離断による変化に関するデータは少ない。当院で行った予防的腕頭動脈離断(PIAT)について後方視的に検討する。【患者】連続8例(男7,女1)のPIATを対象とした。年齢は平均15.5(6-27)歳で、体重は平均22(15-36)kgであった。原疾患は脳性麻痺:6、1p36欠失症候群:1、Stickler症候群:1で、喉頭気管分離を受けていたのは6例。気管切開からPIATまでの期間は平均6.6年(12日-21年)であった。ウィリス動脈輪の開存は最初期の1例を除き、造影CT(5例)かMRI(2例)で確認されており、適応は気管軟化5例、先行出血2例、カニュレ異常拍動1例であった。1例にVSD閉鎖の既往があった。PIAT後観察期間は平均3.2年(6ヵ月-10年)。【手術】全例胸骨正中切開で行った。皮切上端を気管切開孔から50mm以上離し小切開手術用の牽引器具を用いて視野を確保した。腕頭動脈を確保して遮断試験を行い、NIRSによるrSO2と右上肢血圧の変化を観察した。離断端は二重縫合で閉鎖し、ドレーンを留置して閉胸した。【結果】周術期死亡、遠隔死亡はなかった。出血量は平均69.5(0-372)mlで、輸血を要した症例はなかった。rSO2の平均値の変化は離断前83.3(70-94)%、離断後80.8(70-88)%であり、paired T検定で有意差を認めなかった(p=0.126)。術後の右上肢/左上肢収縮期血圧比は平均0.83(0.6-1.1)だった。神経学的合併症や右上肢の冷感・創治癒遅延などの合併症を認めた症例はなかった。術後の最高CRP値は平均8.4(3.4-17.1)mg/dLで、入院日数は平均16(8-45)日であった。【結語】ウィリス動脈輪が確認された症例でのPIATは脳循環や右上肢循環に大きな影響を与えなかった。胸骨正中切開によるPIATは気管切開後患者に安全に施行でき、気管切開合併症を予防する有用な手技である。