[II-P5-7-11] 当院におけるASD治療 (transcatheter device closureと右後側方小切開アプローチASD閉鎖術)169例の経験
Keywords:ASD, カテーテル治療, MICS
{背景}Atrial septal defect(ASD)は先天性心疾患の中で最も治療成績の安定した疾患である。当院では留置基準を厳格に遵守したtranscatheter device closure(SO群)を第一選択とし、外科治療は美容的に優位性があると考え右後側方小切開アプローチで治療(手術群)を行なってきた。{対象・方法}2014年1月から2021年12月までに当院でASD加療を行なった患者を対象とし後方視的に治療後経過を観察し、治療方針の妥当性・安全性を検討した。21 trisomy・肺高血圧合併症例は胸骨正中切開アプローチで手術施行したため除外した。{結果}SO群は67例、手術群は102例で両群のフォロー期間はそれぞれ48±27ヶ月vs46±23ヶ月で有意差はなかった(P=0.588)。SO群の内7例(10.4%)はdevice留置直前にerosionのリスクが高いと判断されたため術中にdevice回収し外科手術となったが術後早期・遠隔期に於いて遺残短絡、不整脈やerosionなどの有害事象はなかった。手術群は手術時間143±35分、人工心肺時間44±14分、大動脈遮断時間14±6分、有輸血手術7例(6.8%)、術後早期合併症は出血再開胸1例のみでその他の有害事象はなかった。SO群と手術群は手術時年齢:12±5 vs 7±4.8歳、体重:37±14 vs 22±13 kg、Qp/Qs:1.7±0.4 vs 1.4±0.5、平均肺動脈圧:15.7±2.5 vs 16.9±2.6 mmHg、術後在院日数: 4.4±1.1 vs 6.7±1.5日全てで有意差(P<0.01)があった。{考察・結語}手術群症例数が多かったがSO群に比較し手術時年齢、体重共に有意に小さく、Qp/Qs・平均肺動脈圧が有意に高いことからシャント血流量がより多く欠損孔の大きい症例が外科手術適応と判断されていた事が推察される。また、北海道という遠隔地をフォローしなければならない地理的観点からもerosionなどの緊急対応が必要な合併症を回避した適応がなされていた。SO群の合併症はなく手術群の合併症も許容範囲と考えれれたため当院での治療方針は妥当で安全性が高いと考えれる。