[III-OR37-04] 当院の体肺動脈短絡手術の治療成績
キーワード:外科治療, 体肺動脈短絡術, 姑息術
【背景・目的】複雑心奇形に対する姑息術として体肺動脈短絡手術(SPS)は有用な術式であるが、死亡率は決して低くない。 SPSを回避した血管内治療の有用性が報告されており、今後治療選択肢として広がってくることが予想される。当院におけるSPSの成績に関して報告する。【対象・方法】2015年1月から2021年12月の間で、108件のSPSを施行している。除外診断としてHLHS、TAPVC・PVO、及び2回目以降のSPSを除いた、初回SPS 71例に関して検討した。【結果】介入時の月齢0-18ヶ月(中央値20日)、体重1.9-8.8kg(中央値3.1kg)で、うち新生児期の介入は47例(66%)、PDA依存は43例(61%)であった。二心室疾患41例(58%)、単心室疾患28例(39%)、未定2例(3%)で、アプローチは正中59例(83%)、側開胸12例(17%)、グラフトは3mm:22本(31%)、3.5mm:31本(44%)、4mm :18本(25%)であった。同時手術として肺動脈形成7例(10%)、PAB 9例(13%)、Starns手術2例(3%)、Brock手術4例(6%)、Uniforcalization1例(1%)、鎖肛手術1例(1%)を行い、人工心肺使用は7例(10%)であった。術後30日死亡は認めず在院死亡は1例(1%)のみで、元々気管狭窄を合併していた症例を術後70日目に呼吸不全で失った。術後緊急ECMOを要したのは1例(1%)で、術中生じた悪性高熱の影響でPH crisisを生じたが、大きな合併症なく救命可能であった。1例(1%)で動脈管組織退縮に伴う吻合部狭窄のため術後早期に再介入を要した。早期グラフト閉塞を1例(1%)で認めたが血行動態には影響なく、急性期の再介入は不要であった。70例(99%)が生存退院可能であった。【結語】術後急性期の死亡や緊急ECMO症例は少なく、諸家の報告と比較し良好な結果であった。当院では姑息術としての血管内治療は積極的には行なっていないが、今後の一つの指標としていきたい。