[III-P6-8-09] 僧帽弁閉鎖不全症に対して自己心膜を用いた小児期僧帽弁形成術の2例
Keywords:僧帽弁形成, 後尖形成, 自己心膜
乳幼児期の僧帽弁逆流で手術介入を要するものは弁の変形が高度であることに加え病変部が小さく脆弱であるため僧帽弁に対して解剖学的な修復を行うことが難しく、今なお人工弁置換術を選択せざるを得ない症例も認める。今回乳児1例を含む小児の後尖低形成が主病変の僧帽弁逆流に対してグルタールアルデヒド処理した自己心膜を用いた後尖形成術を2例行ったため、手技と短期成績、また文献的な考察を交えて報告する。症例1:1歳2ヶ月の女児で哺乳時間の延長を主訴に受診し心臓超音波で僧房弁後尖の挙上不良によるsevere MR指摘された。利尿剤内服で外来フォロー中に心不全増悪したため緊急入院し内科的管理が難しいため手術となった。手術は僧房弁後尖をグルタールアルデヒド処理した自己心膜で延長し形成、さらにKayーreed法による弁輪縫縮術を行った。症例2:8歳11ヶ月の女児で5歳時に感染症で入院した時の検査で僧房弁逸脱による僧房弁逆流を指摘された。利尿剤内服で外来フォロー中に感染を契機に心不全増悪したため緊急入院し内科的管理が難しいため手術となった。手術は後尖のcoaptationの不良によるmoderate~severe MRに対して僧房弁後尖をグルタールアルデヒド処理した自己心膜で延長し形成、cosgrove edwards 26mmを用いて弁輪縫縮術を行った。症例1はmoderateMR認めるも体重増加が得られており経過は安定、症例2はmildMR認めるも心不全症状なく経過している。乳幼児の僧帽弁逆流に対し自己心膜を用いた後尖形成術を行った。弁の完全なる逆流制御は難しいものの短期の経過は良好であった。今後の経過として自己心膜の変性、硬化などによりMRの悪化やMSの進行を来す可能性があるためさらなる中期・長期の経過観察を行う必要がある。