[I-OR11-04] 右室流出路円錐部中隔内走行を伴う単一冠動脈に対する冠動脈形成法
キーワード:単一冠動脈, 冠動脈形成, 右室流出路円錐部中隔内走行
【背景】右室流出路円錐部中隔内走行を伴う単一冠動脈(single coronary artery: SCA)症例は稀であり、突然死の高リスク群であるが治療法として一定の術式が確立していない。我々は、左主幹動脈閉塞のSCA症例に対して大動脈壁flap+肺動脈壁patchによる冠動脈入口部形成を施行してきたが、右室流出路円錐部中隔内走行を伴うSCA症例にもその適応を拡大し2例手術を施行、術後良好な成績を収めたので報告する。【症例1】7歳女児。19.9㎏。労作時胸痛を主訴に受診、エコーでSCAが疑われた。CAGでは右冠動脈(RCA)起始後すぐに左冠動脈(LAD)が分枝、右室流出路(RVOT)背面を走行。有症状であり手術適応と判断。【症例2】4才女児。18.2㎏。無症状、川崎病スクリーニングのエコーでSCAが疑われた。LCAは右冠動脈洞からRCAと同レベルで起始後RVOT壁内走行。無症状で検査上明らかな虚血所見は認めなかったが、①LCAが鋭角起始していること②心筋内走行による物理的な圧排の2点から手術適応と判断。【手術】手術は胸骨正中切開アプローチ、人工心肺使用。心拍動下に右室流出路心筋を切開し壁内走行するLCAを末梢まで剥離。心停止後にLCA入口部切開、切開口に合わせ上行大動脈でflapを作成しLCA切開部と吻合し入口部底面を作成。自己肺動脈patchを用いて入口部前面を形成した。【経過】症例1は術後4年半、症例2は術後2ヶ月経過したがいずれも経過良好、無症状である。症例1は術後1年で心臓カテーテル検査を施行。特に異常所見はなし。【考察】大動脈flap+肺動脈patchを使用する本術式は、①鋭角起始に対して入口部をずらすことが可能②大動脈壁に点で固定することで冠動脈に歪みを与えにくい③入口部のデザインを先に作成できるため形成のデザインが比較的行いやすいといった利点がある。【結論】右室流出路流出路中核内走行を伴うSCA2例に対して大動脈壁と肺動脈といった自己組織による形成を行い良好な成績を残したので報告する。